サステナビリティ

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人権の尊重

サステナビリティ

  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 16 平和と公正をすべての人に

基本的な考え方(ブラザーグループ社会的責任に関する基本原則)

ブラザーグループでは、持続可能な社会の実現に向け、企業としての責任を明確に定義し行動していくため、2012年に「ブラザーグループ社会的責任に関する基本原則」を策定しました。ブラザーグループ各社が負う責任と行動の根本的な考え方を表明している本原則の中で、「人権を尊重する」「人権デューデリジェンスと救済措置」などの項目を設け、従業員に対して健全な労働環境を提供することや、すべての人に対して信義と尊敬を持って接し、基本的人権を守ること、従業員にも同様の行動を求めることを明記しています。

ブラザーグループ社会的責任に関する基本原則

ブラザーグループにおける人権尊重に向けた取り組み全体像

ブラザーグループにおける人権尊重に向けた取り組み全体像

ブラザーグループ 人権グローバルポリシー

ブラザーグループは、当社グループの事業に関わる全ての人々の人権を尊重し、事業活動を通じて人権侵害を助長することがないよう積極的に取り組んでいます。
この度、人権尊重に向けた取り組みをより一層推進するにあたり、ブラザーグループ 人権グローバルポリシー(以下、本ポリシー)を策定します。

1-適用範囲

本ポリシーは、ブラザーグループの全ての役員、社員、嘱託、出向者、派遣社員、請負労働者を含むすべての役職員に適用します。また、ブラザーグループは、本ポリシーに基づく取り組みがバリューチェーン全体に及ぶよう、自社グループの製品・サービスの関係者に対して、直接または間接的に、本ポリシーの理解と、調査、監査、その他の取り組みへの協力を求めていきます。

2-人権の尊重

ブラザーグループは、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」が定める人権を尊重し、国連人権理事会により承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重の取り組みを推進します。
もし国際的に認められた人権に関する国際規範と各々の国または地域の法令が異なる場合は、より高い基準に従い、対立する場合には、国または地域の法律を守りつつも、可能な限り国際的に認められた人権を尊重する方法を追求します。

* ブラザーグループが重要な課題と認識する人権は、以下を含みます。

  • 差別および非人道的扱いの禁止
  • 公正適法な労働慣行の維持
  • 結社の自由
  • 強制労働および児童労働の禁止
  • 職場の安全
  • 衛生的な設備

3-人権デューデリジェンス

ブラザーグループは、自己の事業活動が人権に対して影響を与える可能性があることを認識します。このため、ブラザーグループでは、事業活動による人権への負の影響を適切に評価する目的で、人権デューデリジェンスのプロセスを導入します。
また、人権リスクが特定された場合、負の影響の原因となる活動や取引の停止またはその活動による影響の軽減に努めるなど、人権リスクの是正または再発防止に向けた措置を実施し、その実施状況をモニタリングします。

4-救済メカニズム

ブラザーグループは、ブラザーグループのバリューチェーンにおいて人権への負の影響を受けた被害者などが救済を求めることができる相談窓口を設置します。この窓口は、ブラザーグループに限らず、誰でも利用することができます。また、相談窓口では、匿名性および秘匿性を保ち、相談しやすい環境を整えます。

5-情報開示・対話

ブラザーグループは、人権デューデリジェンスの方針および人権に対する負の影響を特定し対処するために行った活動に関して、自社のウェブサイトや報告書などにおいて適切な開示を行います。
また、ブラザーグループは、自社の事業活動が人権に及ぼす影響について、関連するステークホルダーとの対話を真摯に行います。

6-啓発活動

ブラザーグループでは、本ポリシーをもとに、人権への負の影響を予防するため各種研修などの取り組みを実施します。

推進体制

ブラザーグループでは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、その傘下にある分科会の一つ「責任あるバリューチェーン分科会」において、人権尊重への取り組みをグループ全体でグローバルに推進しています。
この分科会では、ブラザーグループのバリューチェーンにおいて、事業に関わる人々の人権が尊重され、労働者に安全安心な職場を提供するための活動として、バリューチェーン全体におけるグローバルでの人権デューデリジェンス(人権DD)に関する方針の策定や、人権デューデリジェンスの実施などを推進しています。

詳しい内容については「サステナビリティを重視した経営-サステナビリティを重視した経営の推進-サステナビリティを重視した経営の推進体制」をご覧ください。

法務省が推進する「Myじんけん宣言」に賛同

ブラザー工業は、法務省が主唱する「Myじんけん宣言」に賛同し、ブラザーグループの「Myじんけん宣言」を行いました。
「Myじんけん宣言」とは、法務省・全国人権擁護委員連合会が推進し、企業、団体及び個人が、人権を尊重する行動をとることを宣言することによって、誰もが人権を尊重し合う社会の実現を目指すことを目的に推進されている取り組みです。

詳細は「Myじんけん宣言 ブラザーグループ掲載サイト」をご覧ください。

Myじんけん宣言

人権デューデリジェンス

ブラザーグループでは、主要事業の一次サプライヤー*1に対して人権への取り組みを要請しています。また、その上流のサプライヤーに対しては、一次サプライヤーから同様の取り組みを要請することで、サプライチェーンにおける責任ある調達を目指します。

1年間の人権デューデリジェンスサイクル

具体的な取り組みとしては、主要事業の一次サプライヤーに対する強制労働および児童労働に関するアンケート調査を年に1回実施しています*2。このアンケート調査では、強制労働および児童労働の有無を確認するとともに、当該サプライヤーにおける人権ポリシーの策定状況や、お取引先との主要な契約書における強制労働および児童労働防止条項の有無、お取引先における法令順守の確認などについても質問項目を設けています。
このアンケート調査は2021年度から実施しており、2024年度までの4年間で、強制労働および児童労働を行っている一次サプライヤーはありませんでした。

また、調査結果に応じて書面などによる改善依頼を行うとともに、取引規模やその他の要因を踏まえ選定した一次サプライヤーに対しては、オンラインに加えて訪問監査も実施しています。2024年度は、訪問監査において、労働環境や安全衛生面の現場確認を行いました。本監査を通じて、取り組みが進んでいるサプライヤーの活動内容がより明確になったことに加え、各社の取り組み内容に対する理解も一層深まりました。

一次サプライヤーのアンケート調査・監査実績
項目 実績
2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
アンケート調査 951社 1,128社 1,129社 1,196社
オンライン/訪問監査 10社 10社 10社 25社
監査による是正対象企業数 1社*4 2社 0社 1社*5

ブラザーグループは今後も、バリューチェーンにおける人権リスクを特定し、そのリスクに応じてお客様やその上流のサプライヤーに対しても人権への取り組みを推進します。

  1. サプライヤーは、当社製品の製造のために必要な部品を供給する会社のことを指す
  2. ドミノグループ*3においては、2年に1回実施。詳細は、「お取引先に対する人権の尊重」参照
  3. ドミノ事業を展開するドミノ・プリンティング・サイエンスおよびそのグループ会社を指す
  4. 台弟工業股份有限公司の一次サプライヤーが対象。是正されたことを確認済み
  5. 兄弟機械(西安)有限公司の一次サプライヤーが対象。是正対応中

救済メカニズム

全てのステークホルダーの皆さま対象:苦情通報窓口設置

ブラザーグループでは、2022年度から一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟し、ブラザーグループのサプライヤー、お客様、投資家、その他すべてのステークホルダーの皆さまが人権侵害事例について通報できる窓口(「JaCER ビジネスと人権対話救済機構」のサイトへリンクします。)を設置しています。
この窓口では、通報者が報復の恐れなく通報できるようにするため、匿名での通報も可能となっています。また、通報があった場合、ブラザーグループでは速やかに事実関係を調査し、人権に対する負の影響や人権リスクが確認された場合には、その是正に取り組みます。2022年度から2024年度にかけて、通報件数は0件でした。

役員および従業員対象:相談通報窓口の設置(コンプライアンス相談通報窓口)

ブラザーグループでは、ブラザー工業および国内外のグループ会社各社でコンプライアンスに関わる相談通報窓口(ヘルプライン)を設けて不祥事の未然防止や早期対応、再発防止に努めています。

ブラザー工業では、社内窓口として、コンプライアンス違反を発見した場合、コンプライアンス違反ではないかと疑問を感じた場合、職場の上司に報告・相談しても解決されない場合、やむをえない事情で職場の上司には報告・相談できない場合に相談・通報することのできる「社内コンプライアンス相談通報窓口」を設けています。さらに、セクハラ・パワハラなどハラスメント行為への対応に特化した「社内ハラスメント相談通報窓口」を設け、従業員が互いを尊重しながら働くことのできる職場環境の整備に努めています。また、ブラザーグループが提供する製品やサービスの品質に関するコンプライアンス違反、不祥事の未然防止や、違反事項への対応・是正をねらいとして、「品質コンプライアンス相談通報窓口」も設置しています。その他、社外の提携弁護士に直接通報のできる「社外コンプライアンス通報窓口」も設置しています。

通報件数など、相談通報窓口の詳しい内容については「ガバナンス(G)-ブラザーグループ コンプライアンス相談通報窓口 グローバルポリシー」をご覧ください。

人権に関する教育の実施

ブラザーグループは、人権への負の影響を予防するため、人権に関する教育を実施しています。

従業員に対する人権教育

ブラザー工業では、2021年度から、全従業員を対象にハラスメントに関するe-ラーニングを実施しています。

「ハラスメント」に関する教育(e-ラーニング)の実施(2024年度)
受講期間 2025年3月
受講対象 ブラザー工業 全従業員(海外・国内出向者、派遣社員含む)
受講人数 4,236人
受講率 90%
テーマ

ハラスメント防止に向けて、以下の説明

  • ハラスメントとは何か(6類型)
  • 職場におけるハラスメントのケーススタディー
  • 各種通報窓口の説明(ハラスメント相談窓口、コンプライアンス相談通報窓口、外部相談通報窓口の紹介

そのほかにも、経営層や管理職(上級職)を対象に、ハラスメント勉強会など人権に関する研修を実施しているほか、新入社員を対象に「基本的人権の理解」として人権の基礎知識に関する研修を行っています。

さらに、2024年度には、小さなハラスメントの芽を早期に摘み取ることや、より相談しやすい職場環境の実現を目指して、ハラスメントに関する啓発活動を一層強化しました。具体的には、毎年実施しているe-ラーニングに加え、上級職を対象にハラスメント防止に関する書籍を配布したほか、職場内にハラスメント防止ポスターの掲示も行いました。また、これまで新任上級職向けに実施していたハラスメント防止研修を一般従業員にも拡大し、外部講師によるハラスメント防止講演会として実施しました。この講演会には、341人が参加し、「ハラスメント防止のために私たち一人ひとりができること」や「どのような行為がハラスメントに該当するか」を学びました。

その他、詳しい内容については「社会(S)-人財育成-教育体系・研修内容」をご覧ください。

お取引先に対する人権教育

ブラザーグループでは、2024年度、国内外の一次サプライヤーの「ビジネスと人権*」に関する理解促進を目的として、主要事業における一次サプライヤー全社の調達担当者および工場管理担当者を対象とした人権教育を実施しました。

受講者からは、二次サプライヤーへの「ビジネスと人権」についての対応の周知方法に関する相談や、自社で実施している施策が適正かどうかの確認依頼が寄せられるなど、「ビジネスと人権」に対する理解をさらに深めるきっかけとなりました。

「ビジネスと人権」への対応に関する教育の実施(2024年度)
受講期間 2024年10月~2025年2月
受講対象 主要事業における一次サプライヤー全社の調達担当者および工場管理担当者
受講形式 e-ラーニング(PC環境のない受講対象者には、メールでデータを送付)
受講社数 856社
受講率 89%
テーマ

「ビジネスと人権」への対応について

  • 人権の定義
  • 「ビジネスと人権に関する指導原則」の紹介
  • バリューチェーンの定義
  • 人権と経営リスク
  • 企業に求められる人権対応(人権方針、人権DD、救済窓口)
  • 企業活動が人権に与える影響を考慮し、人権を守り尊重していくこと

お取引先に対する人権の尊重

ブラザーグループの取り組み(「調達方針」と「CSR 調達基準」)

ブラザーグループは、部品・材料を調達するお取引先の皆さまにCSR調達の考え方を共有するため、「調達方針」と「CSR調達基準」を公開しています。「調達方針」と「CSR調達基準」は、人権・労働、団結権・団体交渉権、安全衛生、地球環境、公正取引・倫理、品質・安全性、原材料、情報セキュリティー、社会貢献の分野にわたり、現地法令の順守はもとより、団体交渉権を支持する立場から、労働者の団体交渉の実施や、労働条件および経営慣行に関して経営陣とのコミュニケーションなどを尊重します。

「調達方針」では、ブラザーグループがすべてのお取引先に対して公平・公正な取引を行うことや、責任ある鉱物調達に取り組むことを明確に示しています。また、「CSR調達基準」では、「ブラザーグループ人権グローバルポリシー」への理解促進を含め、各項目で人権の尊重に対する姿勢を表明するとともに、お取引先での調達活動においても人権を尊重する取り組みへの協力と、当該取り組み状況の確認プロセス構築を要請しています。

詳しい内容については「社会(S)-責任あるサプライチェーン」をご覧ください。

ドミノグループの取り組み(ドミノサプライヤーコード)

ドミノグループでは、サプライヤーに対する期待事項を示す「ドミノサプライヤーコード*」を公開しています。「ドミノサプライヤーコード」には、児童労働や強制労働の禁止など、人権に関する内容を含む順守してもらいたい事項が定められており、新規に取引を開始する一次サプライヤーとの契約書にも、当該コードが織り込まれています。加えて、サプライヤーが取引開始後も当該コードを継続して順守しているかどうかを確認するため、一次サプライヤーに対する書面調査を2年に1回実施しています。

  • ドミノグループのサプライヤーに対する期待事項を示した規範。ドミノサプライヤーコードは、平等な処遇、職場の安全衛生、環境保護および倫理的な行動の4つの基本原則から成り立っており、その内容は国連グローバル・コンパクト、国際労働機関(ILO)条約および倫理的貿易イニシアチブ(ETI)基本規範などの国際的なイニシアチブに基づいています。

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