グループ企業情報

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トップメッセージ

変化の激しい時代においても、"At your side."の精神を発揮し、次なる成長を目指していきます

代表取締役社長 佐々木 一郎

2020年度の総括

2019年度末から始まった新型コロナウイルス感染症の影響は2020年度も継続し、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続きました。

世界的な半導体の供給不足や海上輸送の混乱など、サプライチェーンに関連するさまざまなリスクが顕在化し、グローバルにビジネスを展開する企業にとっては、急激な変化に対しいかに迅速に対応できるかが問われた1年でした。

ブラザーグループでは従業員の安全・感染防止に細心の注意を払いながら、お客様への供給責任を果たすべく、事業活動を続けてきましたが、都市のロックダウンや部品不足などにより製品の供給が遅延するなど、一部のお客様にご迷惑をおかけすることとなりました。今後、さまざまなリスクを想定した上で、BCP(事業継続計画)の見直しも含め、強靭で持続可能なサプライチェーンの構築のための活動を、これまで以上に強化していきます。

一方このような環境下にあっても、ビジネスパートナーの皆さまの協力を得ながら、グループ一丸となって創意工夫を重ねた結果、2020年度の売上収益は前年度並みの規模を維持し、事業セグメント利益では過去最高益を達成することができました。ご支援いただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。

事業別に市場環境を振り返りますと、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業では、多くの国で事業所の閉鎖などがあり、オフィスでの印刷需要は減少したものの、在宅勤務や在宅学習用途として小型複合機・プリンターの需要が拡大しました。またパーソナル・アンド・ホーム事業では、自宅で過ごす時間が増えたことによる手作り需要の高まりを受け、家庭用ミシンの需要が普及機を中心に拡大しました。マシナリー事業では産業機器は中国を中心に需要回復の兆しが出てきましたが、工業用ミシンに関しては、新規投資の抑制傾向が続き、需要は低迷しました。また、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業においては、新型コロナウイルス感染症によるカラオケ店舗の利用制限や営業時間の短縮などがあり、厳しい環境が長期化しました。ドミノ事業では、コーディング・マーキング機器の需要が堅調に推移したものの、大型のデジタル印刷機などへの新規設備投資の抑制傾向が続きました。

中期戦略「CS B2021」の実現に向けて

2019年度にスタートした中期戦略「CS B2021」では、「次なる成長に向けて」をテーマに掲げ、グループ全体で重要な経営課題に焦点を絞り込み、改革を実行してきました。

新型コロナウイルス感染症の影響は中期戦略の最終年度である2021年度も継続しており、立案時とは事業環境が大きく異なっておりますが、「プリンティング領域での勝ち残り」「マシナリー・FA領域の成長加速」「産業用印刷領域の成長基盤構築」と、それを支えるインフラとして「スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築」という、経営における4つの優先事項に引き続き取り組み、変革を進めています。

見通しが困難になっている時だからこそ、未来のために今できることを着実に進めることが必要です。2021年度は、引き続き成長基盤の構築を進めるとともに、業務の見直し・効率化を推進し、活動で得られた効果を顧客価値創造、コスト削減、業務の迅速化などにつなげ、筋肉質な組織の実現を目指しています。その実現のための人材育成にも力を入れており、例えばブラザー工業ではAI活用推進のため、150人(従業員の3%以上)をAI人材とすることをターゲットに活動を進めています。

CS B2021 次なる成長に向けて-成長基盤構築-

グローバルな社会課題への対応

ブラザーグループは創業以来、お客様の課題、ひいては社会の課題に向き合い、事業活動を行ってきました。事業を通じて社会に貢献するという姿勢のもと、持続的発展が可能な社会の構築に向けて社会課題に対応しています。特に気候変動対応は、2050年までのカーボンニュートラルの実現という世界的な潮流に加え、世界中で自然災害が多発しているという現実の中で、最優先課題として取り組まねばなりません。より一層気候変動対応を推進するため、ブラザーグループはTCFD提言に賛同し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会に対してシナリオ分析を行い、関連する情報を開示しました。また、2018年に策定した「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」におけるCO2排出削減目標を見直し、2050年度までにあらゆる事業活動のカーボンニュートラル*とバリューチェーン全体のCO2排出最小化を目指す、という新たな目標を設定しています。

資源循環については、バリューチェーン全体で資源循環の仕組みを整備し、主要製品に投入する新規天然資源量の削減に取り組んでいます。加えてグループ生産拠点において、水資源の効率的な利用と適正処理による排水を継続して進めます。EU各国は脱炭素のための施策の一つとしてサーキュラーエコノミー政策を推進しています。今後この流れはグローバルに波及していく見込みであり、引き続き対応の強化が必要であると考えています。

ブラザーグループは、サプライチェーンにおける社会的責任を果たすことも推進していきます。RBA(Responsible Business Alliance)対応とCSR調達の拡充を通じて、グループ内の工場も含め、働く人々の人権が尊重されるとともに、安全安心な労働環境が確保できるように努めます。

また"At your side."の精神を実現するのは従業員です。お客様のニーズがより多様化する中、従業員の多様性と個性を尊重し、一人ひとりの成長を重視した人材の育成と職場環境の整備が重要です。ブラザーグループにおいては、グローバル人材、デジタル人材の育成に加え、女性活躍推進のさらなる強化などにより、多様性が尊重され、一人ひとりが生き生きと輝くことができる職場を実現していきます。

そして社会課題に対する取り組みを推進することで、世の中の課題やお客様のニーズの変化を把握し、ビジネスチャンスとして捉えることも重要であると考えます。さまざまな社会課題への感度を高め、そこからニーズをつかみ、社会課題解決への貢献と企業価値の向上を両立できる企業になりたいと考えています。

  • ブラザーグループから排出するCO2を全体としてゼロにする

"At your side."の精神で培われたブラザーグループの強み

"At your side."の精神

ブラザーは1908年にミシンの修理業として創業し、以来110年を超える歴史の中で事業を拡大してきました。いつの時代も私たちの活動の根底にあるものが、"At your side."の精神です。1980年代から米国の販売会社がブランディングにおいて"We are at your side."という表現を使っていましたが、2002年にはこのうちの"At your side."の部分をグループ全体のコーポレートメッセージとしました。また2008年に改訂された「ブラザーグループ グローバル憲章」において「ブラザーグループは、あらゆる場面でお客様を第一に考える"At your side."の精神で優れた価値を創造し迅速に提供する」と宣言しており、この考えはブラザーの企業文化としてグループ内においてグローバルに浸透しています。

ブラザーグループはこの"At your side."の精神に基づいてあらゆる事業活動を進めてきましたが、今後もこれを引き継いでいくとともに、その時代にあった"At your side."に進化させていかなければなりません。

ブラザーグループの強み

社会の変化とともにブラザーを取り巻く事業環境が大きく変化しており、各事業が将来に対してさまざまな課題を持っています。しかし、ブラザーグループの過去を振り返ると、そのような環境下においても一定の成長を続け、お客様に支持され続けた事業が多くあります。これはブラザーが常に時代や環境の変化に合わせて自らを変革し、お客様のニーズに合った価値を提供し続けてきたからです。まずはお客様の声に真摯に耳を傾け、ブラザーが強みを持つ市場で勝ち残ることが大事だと考えています。同時に、"At your side."の視点で、次に必要とされる新しいビジネスに取り組むことが重要です。挑戦には失敗がつきものですが、ブラザーには元来、失敗を経験として捉え、生かす文化があります。多様な事業で培った技術や販売ネットワークを生かしながら、これからもさまざまな挑戦を続け、お客様のニーズにスピーディーにお応えし、持続可能な成長を続けていきます。

また、ブラザーの強みとして挙げられるのは、「お客様の声」を、企画・開発・設計・製造・販売・サービスなどすべての事業活動の原点と考え、その声に迅速にお応えするために構築・実践している、ブラザーグループ独自のマネジメントシステム「ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント」(BVCM)です。具体的には、お客様のもとへ優れた価値をお届けするまでの過程を、「デマンドチェーン」「コンカレントチェーン」「サプライチェーン」の3つのチェーンでつなぎ、価値をお届けした後は、お客様や市場の声から学びを得て、よりよい製品・サービスに進化させていきます。このバリューチェーンをグローバルベースで高速で回すことで、いち早く優れた価値をお客様にお届けすることができます。

ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント(BVCM) ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント(BVCM)

新ビジョンの策定―「At your side 2030」

新ビジョン策定の経緯

ステークホルダーの皆さまからの期待に応え持続的な成長を続けるためには、長期的な視点でお客様と社会にどのような価値を提供するのかを描き、事業戦略とつなげる必要があると考えます。ブラザーグループでは、ブラザーの存在意義と社会への価値提供を示した、2022年度から始まる新ビジョンを策定し、ビジョンからのバックキャスティングで同じく2022年度から始まる中期戦略を立案することとしました。

新ビジョンは2030年度をターゲットとし、10年後にブラザーグループの経営を担う世代で策定チームを編成しました。2020年の6月から約10カ月をかけて、チームのメンバーがブラザーの存在意義、社会への提供価値、10年後のありたい姿を話し合い、経営陣との議論を重ねましたが、将来を担う世代が、全社視点で担当分野以外のビジネスを理解し、将来像を描くことができたのは大変意義のあることでした。さまざまな分野から集まったメンバーが、ブラザーの将来を真剣に考え、その中で生まれた一体感は、今後のビジョンを実現させていく活動にも大きく役立つことと思います。

ブラザーグループ 新ビジョン「At your side 2030」

このようなアプローチを経て、策定されたビジョンが「At your side 2030」です。
「At your side 2030」では、2030年度に向けて、ブラザーグループの存在意義や社会へどのような価値を提供するのかを「あり続けたい姿」として掲げ、この「あり続けたい姿」を実現するための、「価値の提供方法」、そして2030年度までの「注力領域」を示しました。

ビジョンを策定する議論で私が特に手ごたえを感じたのは、"At your side."が「変えてはいけないもの」であると同時に、「社会とお客様のニーズの変化とともに日々高めていくものである」という考えから、新ビジョンの名前を「At your side 2030」としたことです。私は常日頃、“At your side.”とはこれまでも、そしてこれからも追求し続けるブラザーのよき企業風土であり、同時にブラザーの打ち出す成長戦略の中核であると捉えています。ブラザーグループの従業員が、常に"At your side."の視点で自分自身を振り返り、行動していくことが大切です。

 「At your side 2030」の「あり続けたい姿」ではあえて"お客様"という言葉は使わず、"あなた"という言葉を使いました。これは、ブラザーがお客様はもちろんのこと、社会・環境への貢献を含むさまざまな面で"At your side."な存在であることが求められていると考えたからです。

ブラザーグループ 新ビジョン「At your side 2030」
ブラザーグループ 新ビジョン「At your side 2030」

新中期戦略の策定に向けて

「At your side 2030」を実現するためには、今何をする必要があるのかを可視化することが重要です。つまり、ビジョン実現のために中期的に達成する目標と戦略を決めて、スピード感を持って取り組むことが求められます。

現在、新中期戦略を策定していますが、デジタルトランスフォーメーション(DX)による変革、ESGを重視した経営、サプライチェーン強化、人材育成・ダイバーシティの推進など具体的な議論を進めています。新中期戦略では、新ビジョン実現のための道筋を示していきます。ぜひ期待していただきたいと思います。

ブラザーグループはこれからも自らの強みを生かし変革を続けることで、ステークホルダーの皆さまの期待に応え、持続的な成長を続けてまいります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2021年10月
ブラザー工業株式会社
代表取締役社長
佐々木 一郎

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