事業活動の環境負荷を最小化すると共にその負荷を上回る生態系の修復・保全活動を推進
2050年、ブラザーグループは事業活動が生態系へ与える環境負荷を最小化し、環境負荷を上回る修復・保全活動をしている。
主な取り組み:生物多様性保全活動、自然保護活動を行う外部団体とのパートナーシップ、CO2排出削減、資源循環の推進
生物多様性保全目標に対する進捗
「ブラザーグループ環境ビジョン2050」では、生物多様性保全に関する2030年度中期目標を2つ掲げています。これらの目標達成に向け、事業活動が生態系へ与える環境負荷の定量化と低減を進めています。
2030年度中期目標
- 事業活動が生態系に与える環境負荷および、その修復・保全活動の影響を評価し、生態系への環境負荷の回避、低減に取り組んでいる
- グループ全体の生産・販売拠点において、各地域の状況に応じた自主的な生態系の修復・保全活動をしている
生物多様性保全の取り組み
海ごみゼロ活動
ブラザーグループでは長年、拠点ごとに自主的な生物多様性保全活動を実施しています。2021年度からはブラザーグループの活動をさらに活性化するために、世界海洋デーに賛同し、国内外のグループ従業員を対象に「海ごみゼロ活動」を開始しました。2023年度は、国内外43の事業所から、22,000人以上が参加しました。従業員だけではなく、従業員の家族・お取引先・地域社会の皆さまなどと一緒に活動を展開している拠点もあり、参加することで皆さまの環境意識向上にもつながっています。2024年度も、「海ごみゼロ活動」を継続して取り組んでいきます。
海ごみゼロ活動参加拠点(一部)
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フィリピン
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フィリピン
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台湾
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台湾
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中国
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中国
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ドイツ
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日本
自然共生サイト認定取得
ブラザー工業が2008年から環境保全の取り組みを行ってきた「ブラザーの森 郡上」が、環境省による「令和5年度 自然共生サイト*1(前期)」に認定され、2024年8月にOECM*2として国連環境計画世界自然保護モニタリングセンター(UNEP-WCMC)が管理する国際データベースの一つである世界OECMデータベースにも登録されました。ブラザー工業は、2008年に岐阜県および郡上市とともに、郡上市白鳥町のスキー場跡地や、美並町、八幡町など計3カ所のエリアを対象に、森林の復元や保全を目指す協定を締結しました。白鳥町エリアでは毎年春と秋の年2回*3、従業員とその家族を中心に植樹活動を行っており、2014年からは名古屋大学大学院環境学研究科の支援を受け、産・官・学の三位一体の活動として、学術的な側面も含めた環境保全活動へと発展させてきました。白鳥町エリアでは生物の活動場所のゾーニング*4の他、土壌に合った苗木の植樹や森林全体の環境整備などを行ったことで、固有種であるギフチョウをはじめとした希少種の生息が確認されるようになり、森林全体の生態系の回復という成果へとつながっています。美並町、八幡町エリアはヒノキ・スギ林であり、管理者により適正間伐が実施され、在来種の下層植生が形成されています。また従業員の間伐体験の場としても利用しています。美並町、八幡町エリアは木材生産を通して水源涵養*5や災害防止、CO2固定化機能*6などの森林が持つ多面的な生態系サービスを提供しています。
ブラザー工業は、今後も生物多様性保全に向けた取り組みを積極的に展開していくため、環境省が発足した有志連合による「生物多様性のための30by30アライアンス」にも参加し、30by30の目標達成に貢献していきます。
- 30by30達成に向けた日本における行動の一つとして、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度。「30by30」とは、2021年のG7サミットにおいて合意された、生物多様性の損失を食い止め、回復させる「ネイチャーポジティブ」というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標
- Other effective area-based conservation measuresの頭文字をとったもので、国立公園等の保護区ではないものの、生物多様性を効果的に保全しうる地域のこと
- 新型コロナウイルス感染症予防の観点から2020年度および2021年度、2022年度春は未実施
- 森林のさまざまな機能を十分に発揮するために区分して整備計画を立てること
- 水資源の貯留、洪水の緩和、水質の浄化といった機能からなり、雨水の川への流出量を調節する、あるいは、おいしい水を作り出すといった森林の働き
- 森林が光合成によりCO2を吸収し、炭素として固定して、地球の温暖化防止に重要な役割を果たす機能
「斎宮こぶしの杜 三重ブラザー」での生物多様性保全活動
三重ブラザー精機株式会社は "自然と共生し、資源が循環するモノづくり工場"を目指して、2016年から工場敷地内の「斎宮こぶしの杜 三重ブラザー」で生物多様性保全活動を推進しています。
活動は、地域由来の森からタネを採り育てた落葉樹の「こぶし」や地元団体から譲り受けた「ハナショウブ類」の植栽、草刈りや外来種の駆除など、継続的に実施しています。活動の結果、敷地内では野草のオオジシバリやニホンタンポポなどの在来種が生育し、野草のノニガナ・ノカンゾウなどの貴重種が確認されています。また、猛禽類のオオタカやミサゴ、多数のチョウ類も確認されています。
三重ブラザー精機株式会社は今後も取り組みを強化し、自然と共生する社会の実現に貢献していきます。
森林分野で公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)との協働を開始
ブラザー工業は、世界各地で森林保全活動や持続可能な生産と消費の促進を行っているWWFジャパンとパートナーシップを結びました。ブラザー工業は、WWFジャパンが行う森林保全活動への寄付やサステナビリティに関する情報交換を通じて、これまで以上に生物多様性保全に貢献していきます。
資源循環により熱帯雨林での保全活動を支援
ブラザーインターナショナル(ヨーロッパ)Ltd.(以下、BIE)は、2009年にアマゾン川流域の環境保護活動を推進する英国のNPO「クールアース」とパートナーシップを結び、ブラザーの欧州販売拠点20社とともに「Cool
Earth Eco-Rewards initiative」を推進しています。「Cool Earth Eco-Rewards
initiative」は、トナーやインクカートリッジなどの消耗品の回収量に応じた資金をクールアースに寄付する活動です。
資金は、クールアースが支援するペルー共和国の熱帯雨林や絶滅危惧野生動物の生息地を保護する活動に使用されています。2010年度からは、ブラザーグループの環境スペシャルサイト「brotherearth.com」(現、SDGsスペシャルサイト「ブラザー
SDGs
STORY」)上でできるクリック募金をクールアースへの寄付活動に組み入れ、支援規模を拡大しています。クリック募金を通じて集まった資金も、この活動に役立てられています。BIEは今後も継続してこの活動を支援していきます。
- 日本:「ブラザーの森 郡上」生態系回復プロジェクト
- タイ:マングローブ林 再生プロジェクト
- 中国:内モンゴル 砂漠化防止プロジェクト
- アメリカ大陸:環境保全啓蒙プロジェクト
- スロバキア:タトラ山脈 森林再生プロジェクト
ブラザーグループでは、2030年度中期目標、2050年の環境ビジョンの実現を目指し、事業全体が生態系へ与える環境負荷の定量化を進め、効果的な環境負荷低減活動とともに生態系保全活動を展開していきます。
事業活動と生物多様性の関係性マップ
事業活動の中で、グループの主要な製品について、製品1台のライフサイクルのどのステージで環境負荷が発生しているかを捉え、より環境負荷の低い製品をお客様に提供することを目指して、事業活動と生物多様性の関係性マップを作成しました。この関係性マップでは、事業活動の各プロセスに対するインプットとアウトプットから発生する環境負荷を定量化し、各プロセスに占める環境負荷の比率を示しています。その結果、製品の調達、使用、廃棄ステージ(スコープ3)は環境負荷の割合が高いため、優先的に改善する必要があると判断しています。ブラザーグループでは、これらのステージの環境負荷低減を目指して、CO2排出削減と資源循環に取り組んでいます。さらに、事業活動が生態系へ与える主な影響として、気候変動、汚染、生物資源の減少、生息地の喪失、外来種の侵入の5つを挙げ、それぞれのリスクを軽減するグループの生態系保全活動を掲載しています。
【事例】工作機械における事業と生物多様性の関係性マップ
その他生物多様性関連の取り組み紹介
- あいち生物多様性優良認証企業およびなごやネイチャーポジティブパートナーの認定 [PDF/653KB]
- 「愛知目標」に関わるブラザーの取り組み [PDF/855KB]
- 「国連生物多様性の10年日本委員会」連携事業 [PDF/630KB]
- 「にじゅうまるプロジェクト」登録証 [PDF/19.5MB]