サステナビリティ

サステナビリティを重視した経営

マテリアリティ(重要社会課題)

サステナビリティ

ブラザーグループのマテリアリティ

ブラザーグループは、ビジョン「At your side2030」において、ブラザーのあり続けたい姿として「世界中の"あなた"の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」と掲げています。この"社会の発展"と"地球の未来"への貢献に向けて、重要な社会課題として2022年に5つのマテリアリティを特定しました。その後、環境の変化などを踏まえてマテリアリティを見直し、2025年に6つのマテリアリティとして再定義しています。ブラザーグループは今後も、これらのマテリアリティを解決することで、サステナビリティを重視した経営のさらなる高度化を目指します。

マテリアリティ

マテリアリティ

人々の価値創出の支援

ブラザーの製品・サービスの提供を通じて、それらを使⽤するお客様による価値の創出を⽀援し、世界の⼈々の⼼豊かで快適な暮らしに貢献したい、という思いが込められています。

多様な人々の活躍

ブラザーグループで多様な従業員がいきいきと活躍できる環境をつくり、属性によらない多様な視点・知見・価値観が、イノベーション創出や組織の意思決定に生かされている状態を目指すものです。

責任あるバリューチェーンの追求

ブラザーの事業のバリューチェーンに関わるすべての⼈々の⼈権を尊重し、働く⼈たちの安⼼・安全の実現を目指すものです。

CO2排出削減

事業活動のカーボンニュートラルとバリューチェーン全体のCO2排出最⼩化を⽬指し、脱炭素社会の形成に貢献するための活動を推進していきます。

持続可能な資源活用

資源循環の最⼤化に取り組むとともに、資源の持続可能な利⽤と廃棄物による環境負荷の最⼩化を⽬指します。

価値創造を⽀えるガバナンス

事業ポートフォリオの変⾰を後押しするためのガバナンス改⾰を実行するために、2025年度に新たに追加したマテリアリティです。ブラザーグループの持続的な成⻑と価値創造のために、経営の透明性・公正性を担保し、変⾰に向けた適切なリスクテイクを後押しするガバナンスのあり⽅を継続的に⾒直し実践していきます。

マテリアリティとサステナビリティ目標

マテリアリティ 「CS B2027」⽅針・サステナビリティ⽬標
人々の価値創出の支援
  • 各事業の社会的な存在意義と事業ポートフォリオ上の役割に基づく、お客様への提供価値の最⼤化
多様な人々の活躍
  • グローバルベースでの従業員エンゲージメントの向上
  • 各拠点・地域の状況や課題に即した多様な⼈財の活躍促進
  • 重点分野における⼈財ポートフォリオの強化
責任あるバリューチェーンの追求
  • バリューチェーン全体に対する⼈権リスク評価の実効性向上
  • 主要⼯場におけるRBA認証の継続的な取得
CO2排出削減
  • [スコープ1・2*1] CO2排出量の2015年度⽐56%削減
  • [スコープ3*1] 売上⾼原単位*2の2022年度⽐25.2%削減
持続可能な資源活用
  • 売上⾼原単位*3の2022年度⽐16.9%削減
価値創造を⽀えるガバナンス
  • 事業ポートフォリオの変⾰を後押しするためのガバナンス改⾰
  1. スコープ 1・2・3
    温室効果ガスの排出源の区分け。スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2は他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3はスコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)
  2. 売上収益に対するCO2排出量を示す指標
  3. 売上収益に対する新規資源使⽤量を示す指標

マテリアリティと未財務目標

未財務目標

ブラザーグループは、新中期戦略「CS B2027」策定に合わせて、解決すべきマテリアリティ6つのうち「人々の価値創出の支援」「多様な人々の活躍」「CO2排出削減」の3つのマテリアリティに関する主な項目を未財務目標として掲げました。目標達成に向けた取り組みが将来の財務につながるという意味を込め、「非財務」ではなく「未財務」目標としています。

「人々の価値創出支援」では、マシナリー事業の産業機器事業における工作機械の拡販や、インダストリアル・プリンティング事業における産業用印刷分野でのライフサイクル価値提供型サービスの拡大、P&S事業でのお客様のライフタイムバリュー向上に向けたビジネス拡大などを推進します。
そして、「多様な人々の活躍」に向け、重点分野における人財ポートフォリオを強化します。
また、「CO2排出削減」⽬標として、スコープ1・2および3で新たな⽬標を掲げ、取り組みを進めています。製品の省エネ性向上や、リユース、リサイクル材活⽤のほか、製品の⻑寿命化やサブスクリプション型ビジネスの推進など、お客様により⻑く製品を使⽤していただける環境を整備するといった、地球環境に配慮した活動に積極的に取り組みます。

マテリアリティ特定プロセス

ブラザーグループは、ブラザーグループビジョン「At your side 2030」で、「あり続けたい姿」として掲げた「社会の発展と地球の未来に貢献」を実現するため、中期戦略「CS B2024」策定時(2022年)に、「人々の価値創出の支援」「多様な人々が活躍できる社会の実現」「責任あるバリューチェーンの追求」「CO2排出削減」「資源循環」の5つのマテリアリティを特定しました。
その後、2022年時点からの環境変化や、サステナビリティ情報開示指令を含む社会からの要請の高まりを受けて、新中期戦略「CS B2027」策定(2025年)に合わせてマテリアリティの見直しを行い、6つのマテリアリティを再定義しました。
マテリアリティの見直しにあたっては、事業ごとのバリューチェーンや重要なステークホルダーを網羅的に洗い出し、課題を抽出しました。その上で、ダブルマテリアティ*の観点を踏まえて重要なサステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定、ステークホルダーの皆さまからご意見を伺いながら妥当性を検証し、最終化しました。
また、今回の見直しでは、ガバナンスに関するマテリアリティを新たに追加しています。当社は、これまでもガバナンス強化に取り組んできましたが、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じて、「CS B2027」で掲げた事業ポートフォリオ変⾰の加速に向けた適切なリスクテイクを後押しするガバナンスのあり⽅の、継続的な⾒直しと実践が重要だと改めて認識しました。そのため、サステナビリティ委員会で議論した上で、「価値創造を支えるガバナンス」もマテリアリティとして特定し、重要性を明らかにしています。

マテリアリティの見直し

  • 企業活動が社会や環境にもたらす影響(インパクトマテリアリティ)と、社会や環境が企業の発展や業績、財務状況など企業財務にもたらす影響(財務マテリアリティ)との2つの側面から重要課題を特定する考え方のこと

中期戦略「CS B2024」策定時のマテリアリティ特定プロセス

ステップ 具体的な取り組み

1.課題の抽出

  • ブラザーが重視するSDGsのゴールを起点に社会課題を抽出

2.重要性の評価

  • 社会・自社にとっての重要性を評価
  • 社会にとっての重要性は、社会課題の金額的な規模、ステークホルダーの関心度を考慮して評価
  • 自社にとっての重要性は、自社の意思や強みとの整合も含め整理
重要性の評価

3.マテリアリティの原案を策定

  • ブラザーが取り組む意義およびこれまでの活動も考慮の上、マテリアリティ案を整理

4.外部意見の収集

  • 原案に対し、環境保護、人権擁護などに関わる複数の団体および中長期視点の機関投資家から意見を収集

5.マテリアリティ案の調整

  • ビジョン「At your side 2030」および中期戦略「CS B2024」との整合性確認

6.マテリアリティの特定

  • 経営会議および取締役会での議論を経て、「人々の価値創出の支援」「多様な人々が活躍できる社会の実現」「責任あるバリューチェーンの追求」「CO2排出削減」「資源循環」の5つのマテリアリティを特定

7.目標の設定

  • 以下の要素を重視し、5つのマテリアリティに関連した「CS B2024」期間における10の目標を設定
  • 経営の方向性と合致しており、その重要度について説明が可能か
  • 目標・課題・将来の財務インパクトをストーリーとして語れるか
  • 目標に経営陣、従業員がコミットできているか

中期戦略「CS B2027」策定時におけるマテリアリティ見直しのプロセス

ステップ 具体的な取り組み

1.バリューチェーンおよびステークホルダーの整理

  • 自社のビジネスを中心にバリューチェーンの上流・下流の概要を整理
  • 短・中・長期視点から、影響を及ぼす重要なステークホルダーを特定

2.IRO*の抽出

  • サステナビリティ開示のグローバルガイドラインやSDGsなどを踏まえ、課題リストを作成
  • 整理したバリューチェーンを含む自社事業に関係する課題のIROを抽出

3.IROの評価

  • ダブルマテリアリティのアプローチに基づき、インパクトマテリアリティ評価と財務マテリアリティ評価を実施
IRO評価

4.マテリアリティの特定

  • Step3におけるIRO評価結果を踏まえ、重要なサステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定

5.ステークホルダーエンゲージメント

  • 中長期視点の機関投資家や外部機関との面談を実施し、特定したマテリアリティの妥当性を検証

6.マテリアリティの最終化

  • Step5におけるステークホルダーエンゲージメント結果を反映し、マテリアリティを最終化
  • 特定したマテリアリティごとに、中長期的なブラザーグループ目標(サステナビリティ目標・未財務目標)を設定
  • 代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会で審議・承認
  • 影響(Impact)、リスク(Risk)、機会(Opportunity)

「CS B2024」期間中におけるサステナビリティ目標と実績

ブラザーグループは、ブラザーグループビジョン「At your side 2030」実現のために特定したマテリアリティ解決に向けて、「CS B2024」期間中(2022年度から2024年度)におけるサステナビリティ目標を設定し、重要な経営課題として活動を推進してきました。2024年度の取り組みの実績は以下の通りです。

マテリアリティ 2024年度 目標 2024年度 実績
社会の発展 人々の価値創出の支援
  • 産業機器事業におけるお客様の生産性向上、CO2排出削減に貢献するための製品性能の優位性確保
  • 2022年度以降、高い省エネ性能と生産性を誇る、SPEEDIOシリーズの新製品計15機種を発売
  • P&S事業におけるお客様のLTV*1向上に向けたお客様と直接「つながる」ための基盤の構築
  • 各地域におけるサブスクリプションサービスをはじめとするお客様と双方向でつながるための取り組みを引き続き強化
多様な人々が活躍できる社会の実現
  • グローバルベースでの従業員エンゲージメントの可視化と調査スコアの向上
  • 従業員エンゲージメント調査の対象をグループ全体に拡大し、拠点ごとに自律的な取り組みを実施中
  • 海外拠点責任者の現地登用を促進するための人財育成およびガバナンスの強化
  • 海外主要拠点における幹部人財の育成推進、サクセッションプランを継続実施
  • 管理職の健全なジェンダーバランスに向けたパイプラインの強化および多様な働き方を実現する環境整備*2
  • 女性管理職候補育成プログラムの継続実施*2
  • 障がい者の活躍の場を拡大するための理解促進運動を実施*2
責任あるバリューチェーンの追求
  • サプライヤーに対する人権リスク評価の拡大
  • サプライチェーン上流に対する人権デュ一デリジェンスの実効性向上のために25社に対して監査を実施、重大なリスクがないことを確認
  • サプライチェーン上流以外に対する人権デューデリジェンスを48社に対して実施、重大なリスクがないことを確認
  • 1次サプライヤーに対し、人権リスクをテーマとした教育活動を実施
  • 責任ある鉱物調達のための活動を継続実施
  • RBA*3Gold認証を取得したグループ生産拠点数 3拠点
  • 2023年度に中国深圳工場*4、およびフィリピン工場*5においてRBAプラチナ認証を取得
  • 2024年度に星崎工場、ベトナム工場*6においてRBAプラチナ認証を取得
地球の未来 CO2排出削減
  • [スコープ1・2*7] 2015年度比47%削減
    (2022~2024年度の3年間で9%を削減)
    参考)2030年度目標:2015年度比65%削減
  • [スコープ1・2] 電力使用の効率化や太陽光発電の導入などの省エネ・創エネ施策を実施し、2024年度目標(CO2排出量の2015年度比47%削減)を達成
  • [スコープ3*7] 自助努⼒での15万t削減対策の実施
    参考)2030年度目標:2015年度比30%削減
    (2025年3月3日付中期目標改定前)
  • [スコープ3] 製品の小型・軽量化、消費電力の削減などの施策を実施し、2024年度目標(15万tのCO2排出削減施策の実施)を達成
資源循環
  • 製品に投⼊する新規資源率 81%以下
    参考)2030年度目標:65%以下
    (2025年3月3日付中期目標改定前)
  • 段ボールおよび、鉄鋳物のサプライヤーでの再生材使用率が向上し、2024年度(製品に投入する新規資源率81%以下)を達成
  • LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)
    顧客生涯価値。製品・サービス利用期間全体におけるお客様にとっての価値および企業にもたらされる収益
  • ブラザー⼯業株式会社において実施
  • Responsible Business Allianceの略称。製造業のサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、そして労働者が敬意と尊厳を持って扱われること、さらに製造プロセスや調達が与える環境負荷に対して、企業が責任を持っていることを確実にするための基準を規定したもの
  • ブラザーテクノロジー(深圳)
  • ブラザーインタストリーズ(フィリピン)
  • ブラザーインダストリーズ(ベトナム)
  • 温室効果ガスの排出源の区分け。スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2は他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3はスコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

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