社会貢献活動の基本的な考え方
ブラザーグループは、「ブラザーグループ グローバル憲章」に示されている「所属する国や地域に対する貢献を常に意識し、地域社会に対する社会的・経済的・文化的責任を可能な限り分担することにより、よき企業市民となるよう努力する」「持続的発展が可能な社会の構築に向け、企業活動のあらゆる面で地球環境への配慮に前向きで継続的な取り組みを行っていく」という考え方に基づき、以下の範囲において、グループで一体感を持った社会貢献活動を推進しています。
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次の条件を満たし事業の成長につながる活動
- ブラザーが保有する資源が生きる
- ステークホルダーの皆さまからの要請や期待へただ対応するだけでなく、それらを機会として捉え、積極的に関わっていく
- 従業員が共感し、誇りにつながる
- 地球環境への配慮に関連した活動
- 地域および人づくりを意識した活動
- 社会影響の大きい案件に対する支援活動
社会貢献活動の注力分野
事業の成長につながる活動
ブラザーグループでは、これまで健康・福祉、教育支援、環境保全に関する社会貢献活動を継続的に実施してきました。活動はグループ全体での取り組みから、地域に即した各拠点における自律的な取り組みまで多岐にわたり、ブラザーの持つ資源(製品・サービス・技術・人財など)を生かして行われています。こうした活動は、事業の成長も促し、持続的発展が可能な社会への未来永劫にわたる貢献につながるものと考えています。
社会貢献活動における「事業の成長」につながる要素の例
- ブランドイメージ向上
- 従業員の学びと成長
- 地域での事業の円滑な実施
- 優秀な人財確保
- 社会ニーズの把握と将来の顧客理解
など
社会貢献活動の注力分野 | 具体的な活動内容 | 事業戦略との関係性 | 活動拠点 |
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地球環境への配慮に関連した活動 |
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地域および人づくりを意識した活動 |
地域の課題解決に取り組む若手起業家を支援する「東海若手起業塾」への協賛ならびに従業員のプロボノ参加 |
従業員の学びと成長 | ブラザー工業株式会社 |
子どもの教育、保健医療の拡充を目指す活動への支援 |
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など |
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がん患者を支援しがん征圧を目指すチャリティー活動への従業員参加 |
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など |
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社会影響の大きい案件に対する支援活動 | 東日本大震災復興支援と従業員寄付制度「絆ファンド」 |
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地球環境への配慮に関連した活動
ブラザーグループの環境スローガンである「Brother Earth」のもと、環境配慮製品の創出や事業所の環境負荷削減、従業員が参加する「ブラザーエコポイント活動」と連動した生物多様性保全活動に取り組む環境保護団体の支援、従業員参加の環境保全活動など企業活動のあらゆる面で継続的な取り組みを行っています。
活動事例については「ブラザー SDGs STORY-Better your earth」をご覧ください。
地域および人づくりを意識した活動
ブラザーグループでは、各拠点が所在する地域を常に意識しながら社会貢献を継続的に実施しています。また、各地域における人づくりに関する活動にも積極的に支援を行っています。
例えば日本では、2008年から地域の課題解決に取り組む若手起業家を支援する「東海若手起業塾」に協賛しています。起業家支援の現場には毎年3~4人程度の従業員がプロボノとして参加しており、当社の保有する資源が生きる活動の一つとして、従業員に対して参加を促しています。
また、子どもの教育や保健医療の拡充を目指す活動が、さまざまな拠点で実施されています。
さらに、世界各地で開催されているがん患者を支援するチャリティー活動に、さまざまな拠点の従業員が参加するなど、従業員のボランティア意識を醸成するための機会を拡充しています。
ゴールデンリングプロジェクト
ブラザーグループではグローバルで一体感を持った従業員参加の社会貢献活動を目指し、がん患者を支援するチャリティーイベントへの参加を推進しています。支援活動を各拠点へとつなげ、世界地図に支援の輪を描いていくことから、2011年からはこの活動を「ゴールデンリングプロジェクト」と命名し、多くの従業員とその家族がプロジェクトに参加しています。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年度以降も、このプロジェクトはオンラインを活用するなど各拠点で工夫を凝らして実施されています。2023年度は、オンラインイベントに加え対面イベントを再開したほか、対面とオンラインを併用するなど、さまざまな方法でイベントを実施しました。また、新たにスペインやメキシコ、チリ、ペルーなどの拠点が加わり、ブラザーグループの参加拠点数は計30拠点になりました。新型コロナウイルス感染症の制限が緩和されて以降、参加拠点数は着実に増加しており、グローバルでの支援活動がさらに進んでいます。
「ゴールデンリングプロジェクト」に取り組む拠点の多くは、チャリティーイベント「リレー・フォー・ライフ(以下、RFL)」に参加しています。このイベントは、参加者が寄付を行うとともに24時間歩き続けることで、がん患者を励まし勇気づけ、がんへの意識や備えを学ぶイベントです。募った寄付金は、がんの新治療や新薬開発、若手医師の奨学金などの活動に活用されています。
ブラザーグループにおいて、米国では1999年から、ニュージーランドでは2006年から現地法人の従業員有志チームが継続的にRFLに参加し、現在はその他の多くの拠点でも参加の輪が広がっています。日本でも、ブラザー工業を中心としたブラザーグループ従業員らで構成されるボランティアチーム「ブラザーチームジャパン」が2010年から毎年参加し、RFL会場では、がん経験者の話を聞く「サバイバートーク」を自主開催するなど、がんに関する啓発を行ってきました。そうした長年にわたるブラザーグループの対がん活動が評価され「2020年度 日本対がん協会賞(団体)*」を受賞しました。ドイツおよびオーストリアでは、2023年度に5つの販売拠点が事業の枠を越えて協働し、ランニングイベントに加えてオンラインイベントを行うことで、多くの寄付を集めることができました。
- 対がん運動に顕著な功績のあった個人および団体に贈られる賞。公益財団法人日本対がん協会によって1968年に創設され、がん征圧運動の一層の効用を図ることを目的にしている
- 動画はYouTubeを利用しています。
社会影響の大きい案件に対する支援活動
世界各地で発生する大規模災害に対して、ブラザーグループは会社と従業員が一体となった支援に取り組んでいます。
主な支援は以下の2つです。
- ブラザー工業およびグループ会社からの義援金による支援
- 従業員からの寄付やボランティア活動による支援
ブラザーグループからの義援金は、緊急支援として主にジャパンプラットフォームや赤十字社などに拠出され、従業員からの寄付やボランティア活動は、被災地のニーズに合わせて役立てられます。
グローバルでの寄付金額や、ブラザー工業におけるNPO法人へ寄付額については「社会貢献活動-コミュニティー投資関連データ」をご覧ください。
大規模災害への対応
従業員の参加を促す寄付制度「絆ファンド」
ブラザー工業は、従業員が給料天引きや銀行振り込みで簡単に寄付が行える「絆ファンド」という制度を2012年度に設け、従業員からの寄付金を被災地に届けています。
東日本大震災から13年経過した現在も、災直後から支援を続けている宮城県七ヶ浜町、宮城県女川町の女川向学館と福島県のNPO法人しんせい、岩手県の三陸鉄道に寄付を継続し、さらに2023年度からは福島県浪江町にも支援を広げました。
七ヶ浜町ではグローバル人財育成事業への支援と防潮堤おはじきアートの設置協力、女川向学館では被災した子どもたちの学習指導と心のケア支援、NPO法人しんせいでは原発と津波で大きな被害にあった障がいのある方々の自立と就労支援、三陸鉄道では「三陸を笑顔でつなごう」キャンペーン、浪江町ではまちづくりやホープツーリズムなど、その時々のニーズに合った形で寄付が活用されています。七ヶ浜町長からは、「まるで親戚のように、遠くにいても自分たちのことを思ってくれている、その気持ちがうれしい」とのコメントをいただきました。
東日本大震災を風化させないために~支援から交流へ~
ブラザーグループは、震災を風化させないため、そして災害を自分のこととして考えるため、従業員を対象とした各種イベントを開催しています。2019年度からは、被災者に経験や教訓などを語ってもらう「東北トークリレー(講演会)」を終業後に開催しており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年度以降も主にオンラインを活用し継続して実施しています。このイベントには、多くの従業員や経営層が参加し、社会の一員として何ができるのか、災害に対してどう備えるのかなど、改めて考える機会となっています。2023年度のトークリレーは、計4回実施され、原発事故の影響で全町避難を経験した浪江町の方々からは、再生に向けたまちづくりに対する思いなどが語られました。
参加した従業員からは「オンラインであっても東北の方と同じ時間を共有、対話できる良い機会」「東北の皆さんとの交流は財産だと思う」「いつどこで何が起こるかわからないので意識を高めたい」などの感想がありました。
ブラザーグループはこれからも、被災地の皆さまとの交流を深め、寄り添うコミュニケーションを大切にしていきます。
「震災復興応援マルシェ」の開催
ブラザー工業は、東日本大震災をきっかけに、「応援消費*」活動の一環として「震災復興応援マルシェ(以下、マルシェ)」を毎年開催しています。第1回マルシェは、東日本大震災翌年の2012年3月に、東北物産展を開催しました。その後、2023年度までに、通算30回のマルシェを開催し、延べ3,600人以上の従業員が購入により震災復興を応援しています。
2023年度は、東日本大震災に加えて能登半島地震復興支援として、「石川&東北マルシェ」を実施しました。2020年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催が続いていた中、3年ぶりに対面で実施され、約260人の従業員が被災地の商品を購入しました。
ブラザー工業は、被災地の経済活動の維持や復興の支援につながる活動を、今後も継続して実施していきます。
- 消費者が商品やサービスを購入することで、生産者を支援する消費行動のこと
芸術・文化支援活動
東山動植物園への支援活動
ブラザー工業は、1984年にコアラ舎の建設費を寄付して以来、長年にわたり東山動植物園に対してさまざまな支援を行っています。2021年には、東山動植物園と広報パートナー協定を締結し、同園が進める「種の保存」や「環境教育」に関する情報発信を担う「オフィシャル広報パートナー」となりました。この活動の一環として、東山動植物園に初めてコアラが来園してから2024年で40周年となることを記念し、当社はコアラを描いた記念Tシャツを制作、同園に寄贈しました。寄贈したTシャツは、「春まつり」などのイベントの際、同園のスタッフの皆さまに着用されています。そのほかにも、コアラの生態について楽しく紹介する動画を制作し、YouTubeなどで公開しました。これらの活動を通じて、次の世代へ命をつなぐために動植物園が果たしている役割や、世界中のさまざまな動物が絶滅の危機にひんしている理由などを紹介し、生物多様性と地球環境の大切さを伝えています。
また、広報パートナーとして同園のアジアゾウ赤ちゃん命名式当日に掲載した新聞広告「新しく生まれたあなたへ。」が、2023年度に行われた第14回 中日新聞広告大賞で「優秀賞」を受賞しました。この広告は、飼育員からアジアゾウの親子たちに宛てた手紙形式で、いのちのつながりの大切さを訴える内容となっています。今回の受賞では、単に人が動植物に触れる場としてだけでない、大切な種を次世代につなぐ動植物園の課題を提示し、人間によって変えることのできる未来の可能性を示唆している点が評価されました。
そのほかにも、ブラザー工業は、「東山動植物園いのちつなぐ基金*(名古屋市東山動植物園基金)」に協力しており、2023年度も引き続き最高位となる「プラチナパートナー」に認定されています。
ブラザー工業はこれからも、東山動植物園への支援を通じて、動植物を守るための啓発活動などSDGs達成のための行動を継続していきます。
- 東山動植物園の園内施設の整備や、動植物の導入、生息地保全、環境教育の充実などに充てられる基金
社会貢献活動事例
上記以外にも、ブラザーグループではさまざまな社会貢献活動が行われています。
社会貢献活動事例については、こちらをご覧ください。
コミュニティー投資関連データ
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
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ゴールデンリングプロジェクトへの従業員参加 | 23拠点 | 中止 | 13拠点 | 24拠点 | 30拠点 | |
グローバル寄付金額 | 130,259,278円 | 94,467,274円 | 225,495,501円 | 188,320,870円 | 229,866,510円 | |
絆ファンド | 従業員参加人数 | 152人 | 97人 | 129人 | 105人 | 112人 |
寄付額 | 5,050,216円 | 1,524,950円 | 2,570,965円 | 4,211,876円 | 3,696,388円 | |
NPO法人への寄付額(ブラザー工業) | 10,699,112円 | 3,472,020円 | 65,014,680円 | 44,307,800円 | 42,831,730円 | |
東海若手起業塾(ブラザー工業) | 2008年協賛開始 | |||||
プロボノ参加人数 (ブラザー工業) | 目標 | 3人 | 3人 | 3人 | 3人 | 3人 |
実績 | 3人 | 3人 | 3人 | 4人 | 4人 |