サステナビリティ

社会(S)

働きやすい職場環境

サステナビリティ

  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう

雇用・処遇に関する基本方針

多様な人材が能力を発揮できる制度・環境を整備

ブラザーグループは、40以上の国と地域に生産拠点や販売・サービス拠点を設け、世界中のお客様に製品やサービスをお届けしており、人種・言語・文化・習慣など、事業を取り巻く環境がさまざまに異なる中で、全従業員がグローバルチームブラザーの一員として、日々活躍しています。
その基盤となるのが「ブラザーグループ グローバル憲章」(以下、グローバル憲章)の「基本方針」に掲げた「従業員の多様性を重視し、さまざまな能力を発揮できる職場環境とチャレンジングな仕事への機会を提供する。そして、努力と成果に対しては、公正な評価と正当な報酬で応える」という考え方です。グローバル憲章の行動規範では「常に一人ひとりの人格、多様性を尊重し、信義と尊敬を持って行動する」ことを定めています。ブラザーグループ各社は、これらの考え方に基づいて、採用・評価・昇進などにおいて、民族・国籍・宗教・思想・性差・学歴・年齢・障がいの有無など、あらゆる差別を排除することを目指し、児童労働や強制労働を禁止しています。また、雇用においては、現地の最低賃金以上の給与を保障しています。さらに、労働条件、労働環境、賃金水準等の労使間協議を実現する手段として、従業員による団体の結成や従業員がその団体に加入する権利(団結権)を尊重します。併せて、団体交渉権を支持し、従業員との誠実な協議・対話を図ります。ブラザー工業株式会社(以下、ブラザー工業)の「ブラザー工業労働組合」とは労使間で労働協約が締結されていることに加え、労使懇談会や労働環境改善委員会など定期的に情報交換を行うことで、良好な労使関係を築いています。

また、近年の働き方の多様化を受け、ブラザー工業では副業や兼業を一定の条件のもとで認めています。従業員が、新たな挑戦を通じて、会社の枠を超えてスキルや経験を習得できるように、働き方の選択肢を増やしています。

今後も経営層と従業員が一体となって、関連法規、規則の順守はもちろん、各自の文化や慣習を尊重し、グローバル憲章に基づいた人事制度の進化、職場環境の継続的な改善に取り組んでいきます。

公正な評価と処遇を目指した目標管理制度

ブラザーグループは、意欲・能力・成果を公平・公正に評価して処遇に反映するための体制を構築しています。例えばブラザー工業では、一般従業員については、明確な評価基準に基づく目標管理制度のもと、納得性の高い評価を実施しています。評価の結果は被評価者に公開し、その後の面談においてその評価理由を伝えています。こうすることで、従業員が自らの仕事を振り返り、新たな目標に向かって成長していくためのモチベーションも高まるため、人材育成にもつながっています。管理職に関しては、年俸制を採用しています。

仕事と生活の両立支援

制度の拡充と取得しやすい雰囲気づくり

ブラザー工業は、従業員が育児、介護、治療など生活と仕事を両立しながら、能力を最大限に発揮できる職場環境を提供するための各種制度を整備しています。2011年度からは、仕事と介護の両立を考えるセミナーを実施しています。特に管理職には参加を義務づけ、部下の介護リスクに備えるための情報提供を行っています。2015年度には、育児や介護などを行う従業員を対象とした在宅勤務制度を導入し、柔軟な働き方の選択肢を増やしました。同時に、従業員の意見を取り入れ、制度が使いやすくなる工夫や理解を進める雰囲気づくりにも注力しています。
2016年度には、がんに関する正しい知識を持ち、元気に長く働き続けるための「女性のためのがんセミナー」を開催したほか、社内の先輩従業員を囲んだテーマ別座談会「キャリアコミュニティ」を開始しました。いずれも、従業員が参加しやすい勤務時間内に開催しています。2019年度からは新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務制度の活用を推進し、社内ネットワークの整備やオンライン会議システムの導入など体制を整えました。

男性の育児休業(以下、育休)取得促進への取り組み

ブラザー工業では、男性による2週間以上の育休取得率を2025年に60%以上、合計4週間以上の育休取得率を2025年度に30%以上にすることを目標に掲げています。この目標達成に向けて、多様な働き方を支援するため、男性の仕事と育児の両立をテーマにしたキャリアコミュニティを2018年度から開催しており、延べ61人が参加しています。このキャリアコミュニティは、育休から復帰した男性従業員と育休の取得を考えている従業員が、育休取得前後のキャリアや働き方について話し合うものです。育休取得予定の男性従業員だけではなく、その上司や女性従業員も参加可能で、会社全体で男性の育休取得に対する理解を深める場となっています。
2021年度はオンラインで開催され、育休を取得した男性従業員が、育休取得のため公私ともに準備しておくと良いことといったアドバイスや、妻のサポートではなく父親として主体的に育児をすることが重要など育休で得た教訓を語りました。また、育休中における子どもとの過ごし方や夫婦での家事の分担など、育児に関する情報や相談も共有する場となりました。

参加した従業員からは「長期で育休をとってみようと思った」「育休に関して気になっていた部分が解消された」「育休の経験が、最終的には良い循環となって仕事に返ってくるのではないかと感じた」という声が寄せられました。

ブラザー工業は今後も、従業員の育休取得を促進し、安心して働くことのできる職場環境を整備していきます。

両立を支援するための各制度利用者データ(ブラザー工業)*1

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
育児休職*2 61人 (19) 73人 (35) 74人 (41) 98人 (62) 99人 (70)
介護休職*2 3人 (1) 5人 (1) 3人 (2) 2人 (1) 2人 (2)
育児のための短時間勤務 166人 (6) 177人 (9) 176人 (7) 184人 (10) 184人 (8)
介護のための短時間勤務 2人 (1) 3人 (0) 6人 (1) 5人 (2) 5人 (1)
看護休暇 31人 (9) 33人 (7) 28人 (7) 13人 (3) 16人 (6)
在宅勤務制度 57人 (6) 78人 (7) 1,375人 (969) 2,171人 (1,805) 3,372人 (2,692)
  1. ( )内の数字は男性の利用者数
  2. 各年度での取得開始者数

ブラザー工業株式会社 P&H事業 営業企画部 鎌田 仁歩

育休制度利用者の声
~育休取得で実感する感謝と成長!~

ブラザー工業株式会社 P&H事業 営業企画部
鎌田 仁歩

第2子誕生をきっかけに、1カ月の育休を取得しました。育休前、上司からは「不在中のサポートは任せてください!」と理解ある声かけがあり、同僚からも積極的な支援があったおかげで、休職にあたっての不安が解消されました。育休期間は長男の夏休みと重なったこともあり、家族全員でいろいろなことにチャレンジし、共に成長できた非常に貴重な時間となりました。
復職後も、不在中の業務引き継ぎがしっかりとしており、スムーズに復帰をさせてくれた職場にとても感謝しています。
今後、職場での育休取得者がさらに増えるよう、自身の育休経験を周囲に積極的に伝え、育休を検討するメンバーに対してもサポートをしたいと思います。

長時間労働の削減

ブラザー工業は、長時間労働を削減するという方針のもと、制度の構築とともに業務の効率化を図っています。

制度改定による推進

朝型フレックスタイム制度

フレックスタイム制度導入時から、10時30分から15時に設定していたコアタイムについて、2016年7月に、9時30分から14時に変更し、勤務時間を1時間早めることで朝型にシフトしました。

残業の事前申請制度

2016年7月に、20時以降の残業は申請制、22時以降の残業は原則禁止としました。長時間労働を減らす取り組みをしています。

間接部門における36協定上限時間の順次引き下げ

労働組合との合意に基づき、2020年度までに法定外労働時間を順次引き下げ、引き続き維持しています。

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
月間 80時間 75時間 70時間 65時間 65時間
年間 550時間 520時間 480時間 450時間 450時間

業務の効率化

ブラザー工業では、2018年に業務効率化プロジェクトを立ち上げ、業務プロセスの見直しとデジタルツールの活用など、業務効率化を進めています。

業務プロセスの見直しとデジタルツールの活用

社内会議運営や会議資料の作成、メール対応の課題と解決するための具体策や各部門での取り組み事例を、イントラネットで従業員に共有しています。また、ITを活用することによって、定型業務の自動化・効率化を全社的に推進しています。
そのうち、AI(人工知能)の社内研修については、大学院でAIを専攻した新入社員(2018年当時)をリーダーに抜擢。全従業員を対象にしたものから、新入社員、ソフト開発者、マネジメント層など、職種やニーズに合わせたカリキュラムを社内で独自に作成し、自ら講師として登壇し、運営しています。2021年度までに、AI社内研修のうち、講師による授業形式の講座は延べ449人、テキストを使用して学ぶオンライン講座は延べ4,208人の従業員が受講しています。社内でITを活用した業務の自動化・効率化を推進していることもあり、従業員一人ひとりのAI学習意欲が高まっており、任意参加の講座に毎回定員を超える従業員が受講を希望しています。

また、国際基準規格の業務プロセス図表記法である、BPMN*1の活用も推進しています。BPMNとは、仕事の始め方、役割分担、各担当の仕事内容、関係者とのやり取りなど業務プロセスを分かりやすく表記できる方法です。BPMNに従って業務プロセスを可視化し、関係者全員で業務プロセスを見直すことで、現状の把握・課題発見を効率的に行うことができます。ブラザー工業では、業務改善効果が高いBPMNを活用できる人材を育成し、業務改善を促進するため、e-ラーニングや解説動画の配信、BPMN作成実技指導を行っています。営業や開発など職種の異なる従業員それぞれがBPMNを扱うスキルを獲得することで、さまざまな視点から業務プロセスを検討することができ、効率化につながっています。

加えて、AIを備えたソフトウエアのロボット技術により、定型業務を自動化・効率化するRPA*2を学ぶ環境も充実しています。ブラザー工業では、RPAに関する独自の社内研修が多数開催され、社内研修を受講した従業員が自主的に講師となって講習を行う事例もあります。ほかにも、RPA技術質問コーナーをチャットツール内に設置し、従業員同士が活発な意見交換をしています。チャットツールを活用することで、質問や回答をしやすくなったことに加え、他部門の従業員と交流の場にもなり、RPA活用の輪が広がりました。

そのほかにも、業務効率化事例として従業員が開発した「業務報告ツール」が、業務時間の削減に大きな効果をもたらしました。「業務報告ツール」とは、従来メールで行っていた「業務を開始します」「業務を終了します」「本日は○○を行いました」といった業務報告を、ボタン一つで簡単にチャットツールに送信、関係者へ報告できるものです。在宅勤務の普及により業務報告の機会が増える中、ツールの導入により年間約12,000時間(全社合計)の削減に成功しました。

「業務効率化ツールコンテスト」開催

ブラザーグループでは、業務効率化を促進する取り組みとして、2020年度からオンラインを活用した「業務効率化ツールコンテスト」を開催しています。このコンテストは、従業員がRPAなどを用いて作成した自動化ツールとその実績を発表する場で、発表の結果として従業員による「いいね」の数で1位から3位を選出するとともに、社長自らが選出する社長賞を決め、表彰します。また、コンテストと並行して、関連するセミナーやイベントも開催しています。
2021年度は、海外拠点を含めた41組がコンテストに出展し、年間7,000時間もの削減効果をもたらすツールを作成した中国の開発拠点が、社長賞として表彰されました。また、イベントの一つとして開催された社長対談では、「業務効率化と従業員の成長」について社長が思いを語りました。このコンテストに参加・投票した従業員は延べ2,000人で、2020年度の2倍以上となりました。
出展した従業員からは、「今後もだれかの役に立てるような業務効率化ツールを作りたい。」という声がありました。参加者からは、「自動化する側になりたい。」「自動化をしたら、自分が成長すると感じた。」という感想があり、ブラザーグループ全体で、業務効率化意識やスキルの向上に結び付く有意義な場となりました。

  • Business Process Model and Notationの略。
  • robotic process automationの略。

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