常にあるべき姿を大胆にデザインし、マテリアリティの解決に取り組みます
ブラザーの企業文化
ブラザーには伝統的に上下関係が緩やかで風通しが良いという社風があります。この自由闊達さと、「あらゆる場面でお客様を第一に考える」という"At your side."の精神がまさにブラザーの強みとなるDNAであり、変革を恐れず、時代や環境の変化に対応して事業を変化させてきた原動力になっています。また、グローバルチームブラザーとして、信頼関係を築き合い、知識の基盤を共有することで成長することができています。私は、変革の原点は「人の声」であると考え、従業員の皆さんと対話を重ね、フラットな姿勢で意見を受け止め、互いに信頼し合いながら新しいアイデアを生み出すことを大切にしています。持続可能な世界の実現のため、このDNAや強みをさらに磨き、ブラザーならではの価値を創造していきます。
ブラザーグループビジョンとマテリアリティ
2030年に向けて策定したブラザーグループビジョン「At your side 2030」では、あり続けたい姿として「世界中の"あなた"の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」ことを明示しています。この「あり続けたい姿」の実現に向けたロードマップとして、2025年度から2027年度までを対象とした中期戦略「CS B2027」を策定するとともに、重要な社会課題として2022年に特定した5つのマテリアリティを見直し、2025年に6つのマテリアリティとして再定義しました。
「社会の発展」のため、グループすべての従業員が一丸となって優れた価値を創造し迅速に提供し、お客様に喜んでいただくことで人々の価値創出の支援を実現できると考えています。そのための人財には、多様性が不可欠だと考えています。世の中の不確実性が高まる中、同じような意見ばかりだと選択肢の幅が狭まってしまいます。女性や外国人の登用も大切ですが、属性というよりは考え方の多様性こそが重要で、いろいろな視点からさまざまな発想を広げ、集約し、価値創造を推進していくことがより大切だと思っています。
またバリューチェーンにおける社会的責任も重要なテーマです。「ブラザーグループ 人権グローバルポリシー」やRBA(Responsible Business Alliance)対応などを通じて、サプライチェーン全体で働く人々の人権を尊重し、安全安心な労働環境の確保を進めていきます。
「地球の未来」のため、気候変動対応については、「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」を掲げ、2050年までにあらゆる事業活動のカーボンニュートラルとバリューチェーン全体のCO2排出最小化を目指しています。持続可能な資源活用についても、引き続きバリューチェーン全体で資源循環の仕組みを整備し、2030年度までに主要製品に投入する新規資源率を65%以下にするなど、資源の持続可能な利用と廃棄物による環境負荷最小化を目指します。
「価値創造を支えるガバナンス」は、2025年度に新たに追加したマテリアリティです。例えば、M&Aなどを目的とした投資を実施する際には、経営の透明性・公正性を担保し、変革に向けて適切なリスクテイクを後押しできるようなガバナンスを強化したいと考えています。そうした「攻めのガバナンス」により、ブラザーグループの目指す未来を実現し、企業価値を高めることができると考えます。
中期戦略「CS B2027」実現に向けて
ビジョン「At your side 2030」の実現のため、中期戦略「CS B2027」では、「挑む。未来へ、大胆に」をテーマに、長期的な企業価値向上に向け、事業ポートフォリオの変革を加速し、利益創出力を高めていきます。2030年度には産業用領域の売り上げを約50%まで拡大することを目指し、私たちがこれまでのコンフォート・ゾーンから一歩踏み出すことで心理的な境界線を自らの意志で超え、計画を実行します。
そのための重点テーマは4点です。
一つ⽬は、営業利益額1,000億円の達成、これを最優先指標とします。
この⽬標達成に向けて事業ごとの役割を明確化し、それぞれの事業が重点指標に基づいた戦略を遂⾏します。
二つ⽬は、成⻑投資の拡⼤です。3年間で2,000億円規模の成⻑投資を確実に実⾏します。
産業⽤領域へ重点的に資源を配分し、M&A・アライアンスについても積極的に推進します。
三つ⽬は、技術基盤・⼈財基盤の強化です。各事業において描く戦略を着実に遂⾏し、実績を上げるとともに、戦略を⽀える技術基盤・⼈財基盤の強化に取り組みます。これらにより、全社としての利益創出⼒を強化します。
そして四つ⽬として、株価の⽔準を⾼め、企業価値の向上へつなげていきたいと考えています。
成⻑投資とのバランスをとりながら、株主還元も⼤幅に強化します。
資本コストと株価を意識した経営を推進し、株主価値の向上を図ります。
ビジョン「At your side 2030」の実現に向けた私のミッションと行動目標
私自身がミッションを果たすための重要な行動は、以下の4つです。
- ◯Accountability(アカウンタビリティ)
圧倒的な当事者意識を持ち説明責任を果たす - ◯Authenticity(オーセンティシティー)
事象を直視し常に率直なコミュニケーションを行う - ◯Boldness(ボールドネス)
目線をあげ、できることではなく常にあるべき姿を大胆にデザインする - ◯Excellence(エクセレンス)
実行にあたっては常に最良、最善を目指す
このなかで、今のブラザーに最も必要なのが、ボールドネス(大胆さ)です。あるべき姿を描き、そこに到達するためには、今の考え方や行動の延長線上では足りません。今のブラザーという枠を取り払い、「ここまで」と思い込んでいた境界線を超えていく。その先にこそ、私たちが目指す未来があると思っています。
今後もステークホルダーの皆さまと対話を重ねながら長期的に企業価値を高めてまいりますので、引き続きブラザーグループにご期待ください。
2025年9月
ブラザー工業株式会社
代表取締役社長
池田 和史