ダイバーシティ推進のための方針
ブラザーグループにおいては、ブラザーグループ グローバル憲章(以下、グローバル憲章)の「基本方針」で「従業員の多様性を重視し、さまざまな能力を発揮できる職場環境とチャレンジングな仕事への機会を提供する。そして、努力と成果に対しては、公正な評価と正当な報酬で応える」と掲げ、「行動規範」では「常に一人ひとりの人格、多様性を尊重し、信義と尊敬を持って行動する」と定めています。このグローバル憲章にのっとり、ブラザーグループは、年齢、性別、国籍、障がいの有無、職歴などにかかわらず、従業員が個々の能力を最大限に発揮できるよう、各国・各地域の法律、労働環境の状況を踏まえながら、職場環境および制度の整備を行っています。さらに能力、人格、資質、行動に優れた人財が国境を越えて、適材適所に配置され、グループを牽引できるよう、制度の充実や従業員の意識改革活動を行い、DE&I*の推進に取り組んでいます。
- Diversity, Equity & Inclusion(多様性・公平性・包括性)の略。人々の多様性や公平性を尊重し、それらを包摂することで組織や社会としてより多様な価値観を促すことを推進するという考え方のこと
海外拠点責任者の現地登用促進と現地での雇用機会創出
ブラザーグループは、グローバルに所在する各拠点が、現地の市場環境に適した経営を自律的に行っている状態を目指し、海外拠点責任者として現地人財の登用を促進しています。米国や中国など主要な販売拠点の社長を含め現地スタッフを積極的に経営幹部に登用した結果、ブラザーグループの海外拠点責任者の現地従業員比率は、2018年の61%から、2023年には67%*1に上昇しました。
国籍を問わず適任者を経営幹部に登用し、 各拠点がその地域の文化や環境に合った経営を自律的に推進できるよう、ブラザーグループは、中期戦略「CS B2024」期間中のサステナビリティ目標として「海外拠点責任者の現地登用を促進するための人財育成およびガバナンスの強化」を掲げました。この目標達成に向け、各拠点における経営層を中心とした後継者の体系的な育成が重要であると考え、サステナビリティ委員会の傘下に設置されたDEI分科会では、2022年度から2023年度にかけて、海外主要拠点における人事施策について現状を把握しました。その結果、人財育成施策とサクセッションプランの連携不足などの課題が明らかになった一方で、アジアの販売拠点では、階層別に必要な能力や要件を設定し、それらを評価制度に組み込んで人財育成につなげたり、採用活動につなげたりするなど、各拠点が独自に進めている好事例も確認できました。
今後は、海外の拠点間で好事例を共有する場を設定するほか、各拠点の役割や特性を踏まえた最適な人財配置と人財育成の議論に加え、自律的な拠点経営に向けたガバナンス体制についても議論を深め、これまで以上に地域性とグローバル性を両立した経営を推進していきます。
なお、ブラザーグループでは、生産拠点の新設や拡張を通じて、現地での雇用機会の創出による地域社会・経済の活性化にも貢献しています。例えば、2012年に設立したフィリピンの生産拠点では7,000人以上、ベトナムでは2つの生産拠点をあわせて、11,000人以上を現地で雇用しています*2。
- ドミノ関連会社を含む
- 2024年3月末時点
女性管理職の登用推進
女性管理職については、各国・各地域で、女性の社会進出の歴史、生活文化、主な職種などが異なるため、全管理職者数に対する比率に差はあるものの、多くの拠点で女性が活躍しています。
社名 [国] | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |||||
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数 | 比率 | 数 | 比率 | 数 | 比率 | 数 | 比率 | 数 | 比率 | |
ブラザー工業株式会社 [日本]*2,3 | 35人 | 4.1% | 38人 | 4.5% | 43人 | 5.3% | 46人 | 5.9% | 48人 | 6.3% |
ブラザー販売株式会社 [日本] | 3人 | 3.8% | 4人 | 5.4% | 4人 | 4.7% | 4人 | 4.7% | 3人 | 3.9% |
兄弟高科技(深圳)有限公司 [中国] | 41人 | 33.1% | 42人 | 33.9% | 41人 | 33.6% | 40人 | 33.3% | 44人 | 34.9% |
珠海兄弟工業有限公司 [中国] | 20人 | 55.6% | 20人 | 55.6% | 19人 | 54.3% | 15人 | 48.4% | 14人 | 48.3% |
兄弟機械(西安)有限公司 [中国] | 7人 | 20.6% | 7人 | 20.6% | 7人 | 28.0% | 9人 | 34.6% | 9人 | 34.6% |
ブラザーインターナショナルコーポレーション(U.S.A.) [アメリカ] | 87人 | 41.6% | 93人 | 42.5% | 84人 | 41.8% | 92人 | 40.5% | 106人 | 44.0% |
ブラザーインターナショナル(ヨーロッパ)Ltd. [イギリス]*4 | 8人 | 16.0% | 9人 | 17.3% | 12人 | 21.8% | 16人 | 26.7% | 16人 | 25.4% |
ブラザーU.K. Ltd. [イギリス] | 18人 | 39.1% | 14人 | 35.0% | 16人 | 43.2% | 15人 | 42.9% | 17人 | 47.2% |
兄弟(中国)商業有限公司 [中国] | 8人 | 25.0% | 8人 | 25.8% | 9人 | 27.3% | 10人 | 30.0% | 10人 | 29.0% |
ブラザーインターナショナル(ドイツ)GmbH [ドイツ] | 9人 | 24.3% | 9人 | 28.1% | 9人 | 30.0% | 8人 | 30.8% | 7人 | 26.9% |
ブラザーフランスSAS [フランス] | 10人 | 32.0% | 11人 | 35.0% | 13人 | 45.0% | 12人 | 40.0% | 12人 | 38.7% |
ブラザーインダストリーズ(ベトナム)Ltd. [ベトナム] | 48人 | 39.3% | 53人 | 38.7% | 52人 | 37.4% | 53人 | 35.1% | 55人 | 32.9% |
ブラザーインダストリーズ(サイゴン)Ltd. [ベトナム] | 7人 | 36.8% | 7人 | 38.9% | 6人 | 35.3% | 7人 | 36.8% | 7人 | 36.8% |
ブラザーインダストリーズ(フィリピン)Inc. [フィリピン] | 2人 | 4.9% | 4人 | 11.8% | 6人 | 15.0% | 9人 | 20.9% | 10人 | 25.0% |
- 各年度3月31日現在
- 嘱託社員・受入出向者を含む。取締役・監査役・執行役員は含まない
- *2の基準で算出し直した値へ更新
- ブラザーインターナショナル(ヨーロッパ)Ltd.は、2020年3月から2022年3月まで人数・比率の算出方法を見直した値へ更新
女性活躍推進のための活動
ブラザー工業株式会社(以下、ブラザー工業)は、ダイバーシティやワークライフバランスの観点から、性別に関わらず働きやすい職場環境の構築に継続的に取り組むことで、多様な働き方を実現しています。
ダイバーシティを重視した経営の課題の一つとして女性活躍推進の施策を実施
ブラザー工業は、「女性活躍推進に関する宣言」や「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画」などに基づき、女性活躍を推進しています。これまでには、女性従業員向けのキャリアカウンセリングや上司・部下が参加するキャリア研修、希望者の中から選抜された女性従業員に社外研修を受講する機会の提供などを実施してきました。
「女性リーダー研修」の実施
ブラザー工業は、女性管理職候補者の育成のため、「女性リーダー研修」を2022年度から開始しました。
この研修は、自分らしいリーダー像を描いたり、家庭との両立などの課題や意欲を阻害する要因、無意識のうちに自身に課してしまう制限を具体化して、解決策を考えたりするなどの内容で構成されており、キャリアの可能性や視野が広がる内容となっています。
本研修は、2022年度から2024年6月までに4回実施し、計78人の女性従業員が参加しました。参加者からは、「スキルアップにつながる内容が多く、自信につながった」「メンバーの発言やフィードバックにより新たな気づきを得られた」 などの声がありました。
計画・目標
女性管理職(上級職) | |
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目標*1 |
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実績 | 2023年度:女性上級職 54 人*2 |
男性の育児休業 | |
目標*1 |
|
実績*3 | 2023年度実績:育児休業取得率約 70.0%、2週間以上の育児休業取得率約 63.6%、4週間以上の育児休業取得率約 50.0% |
目標1*1 | 男性従業員の育児休業のさらなる取得促進活動を行う。 |
目標2*1 | 働き方の選択肢を拡充し、より多様で自律的な働き方を推進する。 |
実績 | 働きやすい職場環境 |
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画(ブラザー工業株式会社行動計画) [PDF/471KB]
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画(ブラザー工業株式会社行動計画) [PDF/398KB]
- 2021年4月1日から2026年3月31日までの5年間の目標
- 管理職相当およびそれと同等の処遇を受ける専門職
- 定義:男性の育休取得率:2022年度中に2週間・4週間以上育休を取得した者 ÷ 2022年度中に配偶者が出産した男性従業員数
主な施策
2019年度 |
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2020年度 |
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2021年度 |
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2022年度 |
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2023年度 |
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ブラザー工業における女性従業員比率など、女性活躍推進に関する詳しいデータについては下記をご覧ください。
ESGデータ-社会(S)関連データ-ダイバーシティ・両立支援外部からの評価
ブラザー工業は、これまでの取り組みが評価され、厚生労働省、愛知県、名古屋市から、女性活躍推進、子育て支援など多様な働き方に対応する企業として、認定されています。
詳しくはブラザーグループのサステナビリティを重視した経営-外部からの評価-女性活躍推進、子育て支援などに対する評価をご覧ください。
障がい者の雇用推進と活躍支援
ブラザー工業では、障がいを持つ従業員も、それぞれの適性・能力に合った職種・職場で活躍しています。
日本では、一定規模以上の企業に対して、総従業員数の一定割合以上の障がい者を雇用することが法律で定められています。ブラザー工業における2023年度の雇用率は2.34%となり、法定雇用率である2.3%*1を満たしています。今後も、障がい者の採用と活躍の両面から、安心して働くことのできる職場環境の整備に継続して取り組んでいきます。
ブラザー工業は、グローバル憲章の「行動規範」にある「個人に対する信義と尊敬」に基づき、障がいの有無に関わらず、従業員同士が理解を深め、連携を強化して個々の能力を最大限に発揮できる職場環境をつくっていく方針を引き続き展開しています。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」などの法律の改正に合わせ、法律の概要と考え方を学ぶe-ラーニングや、具体的な行動を促進するためのブラザーグループ内のジョブコーチによる学習の場を設けています。また、障がいを持つ従業員から相談を受けるなどの役割を担う、「障害者職業生活相談員」を各工場の従業員から選任し、相談員を対象にした継続的な知識向上プログラムを、外部講師を招き実施しています。このように、職場全体で理解しサポートできる体制を構築しています。
- 2023年度の法定雇用率。2024年度の法定雇用率は2.5%
- 直雇用(嘱託社員、期間従業員は含む)と国内外への出向者を含む(受入出向者は含まない)
障がい者雇用に関する講演会を実施
ブラザー工業は、障がい者の雇用拡大と社内での理解促進のため、2023年度に障がい者雇用に関する講演会を開催しました。この講演会は、ブラザー工業の役員と上級職、国内グループ会社の社長を対象に実施され、約140人が参加しました。
講演では、法的な雇用義務を超えた障がい者の雇用に向けて、世の中の障がい者雇用の現状や、企業が障がい者雇用をする上で必要なことなどが語られました。参加者からは、「障がいのある方が心理的安全性を高めて働くことができるよう、相手を知ることが大切だと感じた」「車いすの部下に対し、『過剰』な行動をとっていたのではないかと感じた。今後は、自分の思い込みで対応するのではなく本人の意思を確認することが大事だと理解した」などの感想や気づきが寄せられました。
この講演をきっかけとして、2024年度は、障がい者雇用拡大に対する理解促進を目的とした活動を全従業員に展開していきます。
LGBTへの対応
ブラザー工業は、ダイバーシティ推進の一環でLGBTに関する理解を深め、従業員が自分らしく働くことのできる環境を整備しています。
2019年には、管理職・一般従業員向けにLGBTに関するe-ラーニングを実施しました。また、新入社員向けに2019年度から、新任管理職向けには2020年度から、人権や労務などに関する研修内でLGBTを取り上げるなど従業員の理解促進に努めています。
そのほかにも、健康診断実施における配慮、毎年実施する「従業員意識調査」で回答者属性の性別欄を削除、男性向けの制服を男女兼用化するなど、多様性を尊重するためさまざまな取り組みをしています。
シニア層の活躍推進(ブラザーシニアスタッフ制度)
ブラザー工業では、60歳の定年後も、希望者には65歳まで雇用を継続するシニアスタッフ制度を導入、長年培ってきた経験を生かし、スキルやノウハウを発揮できる場を提供しています。
2023年度には、80%を超える従業員が、シニアスタッフ制度での再雇用を希望しており、希望者全員をシニアスタッフとして再雇用しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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再雇用されたシニアスタッフ数 | 79人 | 88人 | 121人 | 136人 | 97人 |
再雇用率*1 | 83.2% | 88.0% | 90.3% | 91.3% | 85.8% |
65歳定年への移行(2026年度以降)
ブラザー工業では、2029年度以降に60歳を迎える従業員を「65歳定年」とします。それまでの移行期として、2026年度から段階的な定年延長を行います。
また、65歳定年への移行にあたり、シニア層のさらなる活躍を促進するため「ブラザーシニアスタッフ制度」を改定しました。本改定では、シニア層の役割基準・レベルをより明確に定義し、それに基づき評価・報酬制度を整備しています。これにより、高い成果・貢献を創出するシニア層を適切に評価し、より正しく報いることができると考えています。
なお、65歳以降も、高い成果と貢献が創出可能な人財については、就労機会を拡大していきます。
- (シニアスタッフ数÷定年退職者数*2)×100
- 定年退職者数には、再雇用を希望しない人を含む