サステナビリティ

価値創造の仕組み

製造・物流・販売・サービス

サステナビリティ

  • 8 働きがいも経済成長も
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

お客様の声に耳を傾けることで生まれる対応力と連携

事業環境にあわせ、自ら変化できる企業であり続ける

多様化するツールや市場、お客様の行動の変化など、事業環境はめまぐるしく変化しています。ブラザーがこの変化に対応していく上で大切なのが「柔軟な対応力」と「パートナーとの連携」です。
お客様の声に耳を傾け、これまで培ってきた技術や知識、ノウハウを生かしつつ、新規事業など新たな分野においては、パートナーと適切に連携しながら柔軟に対応していきます。
そうすることで自ら変化できる企業であり続けたいとブラザーは考えています。

品質・サービスのさらなる向上のため、グローバルサービスサミットを開催

ブラザー工業株式会社のプリンティング・アンド・ソリューションズ事業(以下、P&S事業)では、2000年に始めた品質課題を共有するグローバル会議を進化させ、2007年から品質・サービスのさらなる向上のため、グローバルサービスサミット(以下、サミット)を開催しています。

米州、欧州、亜州、中国、日本の各統括拠点の品質・サービス部門がサミットに参加、基本方針を共有し、グローバルなサービス戦略の実現に向け、 ブラザーグループが一体となって重要課題に取り組むことを確認します。各拠点からは、ITやAIを利用した顧客サポートやお客様の声の分析結果など、具体的な事例を報告。参加者は、サミットでの気づきを担当地域へフィードバックすることにより、サービスレベルのさらなる向上を推進します。
2024年度のサミットでは、お客様との貴重な接点であるAIチャットボットに関する課題の洗い出しや、コミュニケーションの質向上に向けチャットボットを進化させる方法など、カスタマーサービス戦略の方向性と2025年度のアクションについて、グローバル各拠点と確認・合意を行いました。

自拠点のサービス活動を報告(2019年度の様子) 自拠点のサービス活動を報告(2019年度の様子) 意見交換する参加者(2019年度の様子) 意見交換する参加者(2019年度の様子)

P&S事業の品質・サービス部門の目指す姿は、市場の情報からお客様の要望を理解し、今後の製品やサービスに盛り込むこと、そして製品を購入していただいたお客様に対して、より長く使っていただける製品・サービスを提供することにより、お客様に加えて地球環境にも貢献をすることです。そのために、独自のマネジメントシステム「ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント」(BVCM)で製品品質の不良ゼロをめざすとともに、長期にわたって製品を使い続けていただけるように、お客様・社会からの要請を理解した製品づくり、品質づくりに取り組み、循環型経済に対応することを、品質戦略として掲げています。
P&S事業では、これからもすべての拠点が活動内容を共有し、全世界のお客様に、常に満足していただける製品とサービスを、効率的かつ迅速に提供できるよう努めます。

労働環境の改善と物流の最適化を実現するロジスティックス*1業務の推進

ブラザーグループは、「At your side 2030」実現のため特定した5つのマテリアリティの一つ、「責任あるバリューチェンの追求」の一環として、事業に関わる人々の人権が尊重され、労働者に安全安心な職場を提供するための活動を推進しています。
ブラザーグループのグローバルロジスティックスを管轄するブラザーインターナショナル株式会社(以下、BIC(J))は、ブラザーグループのサステナビリティを重視した経営方針に基づき、グループ各社やパートナーとともに物流の効率化や働き方改革への対応など、さまざまな取り組みを行っています。

輸送時におけるコンテナ積載では、パレットを使用せずカートンを直接積み込むと積載効率が良い反面、荷降ろしや倉庫への搬入に相当の時間と労力がかかるため、倉庫側の作業負荷が大きく、港湾の混雑や労働環境の悪化にもつながります。また、トラック運転者不足や労働環境の改善など物流業界で顕在化する多くの課題に対し、官公庁や輸送業界は近年「『ホワイト物流』推進運動*2」を展開し効率的かつ持続可能な物流体制の構築を目指しています。 そこでBIC(J)では、従来のパレットより省スペースになるシートパレットの提案も含め、パートナーとともに効果的なパレタイズ化*3を進めるとともに、労働環境の改善を行っています。

また、BIC(J)は ブラザー工業関連部門およびビジネスパートナーと連携し、ロジスティックスの可視化に向けて独自のプラットホームを導入しました。このプラットホームにより、ブラザー製品の輸送状況や到着予定日などをリアルタイムで把握できる仕組みを整備し、各販売会社の発注・在庫把握の精度向上、さらにはグループ全体の製造・販売の最適化につなげています。
今後は、港の混雑や災害、通関トラブルなどのリスクを早期に検知し、その影響を迅速に把握することで、輸送ルートの変更や在庫再配分などの判断を速やかに行える体制の構築を目指すなど、単なる見える化にとどまらず、さらなる進化に向けた活動を推進していく予定です。

BIC(J)では、これからもグローバルにステークホルダーの皆さまからの期待や要請に応え、労働環境の改善と物流の最適化を両立させる質の高いロジスティックスを提供していきます。

  1. 物の流通そのものだけでなく、原料調達や経営管理・コスト管理などを含めた、物の流通に関わる全般の効率的な仕組みのこと
  2. 深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活・産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的に、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化や物流業界におけるより働きやすい労働環境の実現に取り組む運動
  3. 生産ラインの最終段階として、箱や袋、ケースといった荷物をパレットに積み付ける作業のこと

生産拠点と販売拠点の協働による迅速な品質改善とお客様満足の向上

ブラザーグループは、グローバル展開する製造・物流・販売・サービスの各領域において、”At your side.”の精神で、あらゆる場面でお客様を第一に考えています。特に製品の品質安定は、お客様に安心してご利用いただくための重要事項と捉えています。

フィリピンの生産拠点であるブラザーインダストリーズ (フィリピン)Inc.と、販売拠点であるブラザーインターナショナル(フィリピン)コーポレーションは、地理的な近接性を生かして連携を強化することで、販売店を通じて寄せられたお客様の声に対し、的確かつ迅速な対応を実現しています。例えば、製品の印字に関する品質課題が発生した際は、生産拠点と販売拠点が直接コミュニケーションをとることで、問題の原因となる生産工程への対策を速やかに実施し、速やかな品質課題解決につながりました。また、品質向上とお客様へのご迷惑防止の徹底に向けて両拠点間で密接な連携を図り、その他の品質課題解決も進めた結果、問題発覚から課題解決までの期間を平均16日から4日へと、1/4に短縮しました。
生産拠点と販売拠点の連携強化は、返品台数の減少にもつながっています。例えば、紙詰まりなどお客様のご使用方法に起因する製品の返品が発生した際には、両拠点で協力してトラブルの解決方法や正しい使い方を記載したパンフレットを作成し、製品保証書とともに同梱しました。加えて、お客様向けのオンライン製品講習会を開催し、直接お客様のお困りごとに対応する場を設けました。これらの結果、お客様自身が製品トラブルの原因を理解し自己解決できるようになり、トラブルの再発防止や返品台数の減少、さらには満足度の向上にもつながりました。

これらの連携を基盤とした取り組みは、該当製品の後継機種においても継続的に実施しており、品質問題の迅速な解決や製品の使用方法の直接のご案内を通じて、常に「お客様にご迷惑をかけない」姿勢を徹底しています。
ブラザーグループは今後も、製造・物流・販売・サービスの各プロセスにおいて、グローバルなネットワークを生かした柔軟な対応力と拠点間の密な連携による迅速な課題解決を推進し、より良い製品とサービスの提供を通じてお客様満足の向上に努めてまいります。

工場の「見える化」で実現する品質保証力の強化と全社的な業務プロセスの効率化

ブラザーグループは、グローバルで28の生産拠点を設け、複数拠点での生産対応によりコスト競争力と柔軟性の高い生産体制を整備するなど、長年にわたりグローバルな生産体制の構築と強化に取り組んできました。中期戦略「CS B2027」では、製造能力のさらなる向上を目指し、品質保証力の強化と全社的な業務プロセスの効率化を目指しています。これらの実現に向けて、ブラザーグループは製造現場におけるデータ化の整備と展開を進めています。

例えば、ベトナムの生産拠点であるブラザーインダストリーズ(ベトナム)Ltd.では、既存システムを連携させることで工場全体のさまざまな情報をデータベース化しています。蓄積されたデータは、各部門のニーズに合わせて分析され、ダッシュボードを通じて共有されることで、「見える化」が行われています。これにより、工程の無駄の発見や改善活動の推進、自動化の促進など、生産工程の効率化が一層進みました。また、製品や部品のトレーサビリティデータから、品質に関する情報を正確に把握できるようになり、問題発生時の迅速な原因究明や対応が可能となりました。さらに、蓄積されたデータを分析することで、目視では発見が難しい潜在的な課題も早期に特定でき、問題の予知や未然防止につながるなど、品質のさらなる強化と品質管理の効率化が進んでいます。これらのデータ活用は意思決定にも貢献しており、感覚や経験に頼ることなく客観的かつ正確な意思決定と洞察の深化に役立っています。

本取り組みはグローバルの各工場で展開されており、インクジェットヘッドおよびその関連部品の生産強化を担うブラザー工業の星崎工場でも、情報統合プラットフォームの構築による見える化とデータの活用を推進し、工場全体の生産効率向上に取り組んでいます。ブラザーグループは今後も、品質保証力のさらなる強化と業務効率化を目指し、製造能力のさらなる強化に取り組んでいきます。

工作機械の徹底したサポートで、モノづくりの現場を支援

ブラザー工業の工作機械SPEEDIOシリーズでは、お客様の生産性最大化に向けて、サポート体制の強化に取り組んでいます。

近年、製造業では人手不足が続き、特に技能人財の不足が深刻化しています。工作機械を使う生産現場においても、機械の保全担当者の確保が課題となっています。また、工作機械の故障などによる生産停止は、お客様にとって大きな損失につながるため、問題発生時の迅速な設備復旧が非常に重要です。
そこでブラザー工業では、多岐にわたるサポート体制を整え、お客様の生産現場におけるダウンタイムの短縮や安定した生産活動の継続に貢献しています。
例えば、工作機械の本体に遠隔サポートキットを取り付けることで、ネットワークを経由して遠隔でサポートを受けることができるサービスを展開しています。このサービスでは、お客様が現場で異常を感じた際、サポートキットに搭載のスイッチを押すだけですぐにコールセンターにつながり、該当機械の情報を当社データベースから取得して原因を分析、特定します。これにより、お客様が設備異常や症状を詳しく説明することなく、迅速に課題を解決します。また、サポートキットを通じて故障箇所や変化点を分析し、故障の予兆を検知した場合には事前にお知らせするなど、生産を止めないための徹底したサービスを提供しています。その他にも、24時間対応のチャットボットによるお問い合わせ窓口の設置やビデオ通話によるサポート、メンテナンスサービスの充実などさまざまなサポート体制を構築した結果、マシンダウン時の48時間以内復旧率90%以上*を実現しています。

ブラザー工業は今後も、モノづくりの現場を支援できるよう、お客様に製品の購入後も安心してご利用いただける体制づくりに努め、サポート体制のさらなる充実とサービス品質の向上を推進していきます。

  • 2024年3月時点

ブラザーテクノロジーセンターを通じたサービス・サポート・マーケティング体制の強化

ブラザーグループは、工作機械のテクニカルサポートやアフターサービス、マーケティングの強化を目的とした施設「ブラザーテクノロジーセンター」をグローバルに展開しています。

ブラザーテクノロジーセンターとは、工作機械の展示や実加工のデモンストレーションを通じて、お客様にブラザーの工作機械の高い生産性を体感していただける施設です。また、製品の用途や使い方などについて詳しくご説明する各種セミナーも開催しており、製品導入をご検討中のお客様へのサポートやご提案も積極的に行っています。さらに、部品加工に関するご相談やテスト加工のご依頼などさまざまお問い合わせにも対応しており、最適な加工方法や自動化などのソリューション提案を通じて、お客様の課題解決を支援しています。

テクノロジーセンターは2025年10月現在、国内で6カ所*1、海外で13カ所*2開設されており、各地域の市場特性に合わせたサービスを提供しています。各拠点には、専門スタッフが常駐し、テクニカルサポートに加え製品に関する最新情報の発信を行うなど、お客様との信頼関係構築やマーケティング活動の強化を行っています。 ブラザーグループは今後も、お客様の生産現場を支援するため、市場の変化やお客様のニーズに迅速に対応できる体制の強化を進めてまいります。

  1. 愛知、東京、大阪、群馬、宮城、佐賀
  2. アメリカ、メキシコ、ドイツ、タイ、インド(3カ所)、中国(6カ所)

生産・販売・サービス拠点データ

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
生産拠点や販売・サービス拠点 40以上の国と地域
売上収益(連結) 631,812百万円 710,938百万円 815,269百万円 822,930百万円 876,558百万円
地域別売上収益構成比 日本 15.7% 14.8% 14.2% 14.2% 13.3%
米州 31.8% 31.3% 33.8% 34.4% 34.6%
欧州 28.2% 27.3% 25.7% 27.7% 27.0%
アジア他 24.3% 26.6% 26.3% 23.8% 25.1%

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