ブラザーの価値創造プロセス
ブラザーグループの価値創造の源泉は、あらゆる場面でお客様を第一に考える"At your side."の精神です。
世界中のブラザーグループが、"At your side."の精神を軸に、6つの資本とブラザーの強みを投入し、中期戦略に則ってお客様を中心としたブラザー独自のマネジメントシステム「ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント(BVCM)」を実践することで、民生用から産業用にわたる多様な製品・サービス・ソリューションを提供しています。そして、5つのマテリアリティ解決に取り組むことで、お客様の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献しています。この顧客価値の拡大を通して、企業として持続可能な成長を果たしていきます。
ブラザーの強み
ブラザーは、事業変革の歴史の中で培った多様な独自技術と、グローバルネットワークを最大限に生かし、お客様の生産性の向上と創造性の発揮に貢献しています。これからも進歩し続けたいと願うすべての人の思いを支えるため、グローバル複合事業企業ならではの強みを発揮し、外からの学びも生かしながら、ものづくりにとどまらない価値づくりでお客様のありたい姿を実現していきます。
新しい価値を生み出す多様な独自技術
創業以来、ブラザーはお客様や市場のニーズの変化に対応するため、顧客セグメント・販売ルートや技術・能力の共通性を生かし、新たな事業を生み出してきました。この連続性を縦糸・横糸とし、織りなされた広がりと、事業領域を越えて協力しあう企業文化や技術の組み合わせによる新しい価値創造、これがブラザー独自の強みとなっています。
ニーズに応えて迅速な価値提供を可能にするグローバルネットワーク
ブラザーはこれまで、40以上の国と地域に開発・生産・販売・サービス拠点を拡大してきました。そのグローバルネットワークを生かした、お客様のニーズに対応する柔軟性、製品・サービスを迅速に提供する小回り力、効率的なネットワークによるコスト競争力も強みの一つです。今後も、外部からの学びやパートナーとの連携を生かし、グローバルチームブラザーで優れた価値を迅速に提供していきます。
ブラザーの資本
知的資本 統合報告書2024 38ページ [PDF/2.0MB] | |
---|---|
■資本の状況
研究開発費:479億円
多様な独自技術 |
培ってきた多様な独自技術を生かし、お客様の求める製品やサービスを創出することがブラザーにとって真の技術力であると考えています。お客様と向き合い、どのような技術で実現するか、どのような製品でお客様の役に立つことができるかを考え、価値創造に資する知的資本の強化に取り組んでいます。また生み出された価値を権利化することで、自社の独自技術を守るとともに、収益性の向上や優位性の維持などに貢献しています。独自技術と知的財産権を有効活用しながら、お客様に選ばれる製品・サービス・ソリューションの提供が可能な信頼される技術力で、ブランド価値を向上しています。 |
社会関係資本 統合報告書2024 40~41ページ [PDF/2.0MB] | |
■資本の状況
連結子会社数:106社*1
ともに成長するグローバルな顧客とビジネスパートナー |
社会関係資本の強化においては、マテリアリティの「人々の価値創出の支援」に向け、お客様とのつながるビジネスの拡大などを通じて、優れた顧客体験や価値を提供し続けます。また、マテリアリティの「責任あるバリューチェーンの追求」においては、ビジネスパートナーと価値を共創すると同時に、ブラザーグループの事業に関わる全ての人々の人権尊重と安心・安全を実現していきます。 |
製造資本 統合報告書2024 39ページ [PDF/2.0MB] | |
■資本の状況
グローバル生産拠点:27拠点*1
コスト競争力と柔軟性の高い |
ブラザーグループは、複数拠点化によるコスト競争力と柔軟性の高いグローバルな生産体制を整備し、信頼性の高い製品を生産してきました。 中期戦略「CS B2024」の「産業用領域の飛躍に向けて」で掲げた「供給能力の強化」や、「産業用インクジェット技術基盤の強化」、さらに「持続可能な未来に向けた経営基盤の変革」で掲げた「強靭かつ持続可能なサプライチェーンの構築」の実現に向けて、工場の新設や生産拠点の分散化、在庫保有機能の拡充などにより、さまざまなリスクを低減し、お客様へ安定した製品供給ができるよう、体制をさらに強化しています。 |
人的資本 統合報告書2024 32~33ページ [PDF/2.0MB] | |
■資本の状況
連結従業員数:4万人以上*1
自律型従業員で構成される |
ブラザーグループの持続的な成長のために最も重要な基盤は、人財です。ブラザーグループは、「多様な人々が活躍できる社会の実現」をマテリアリティとして定め、2024年度目標として「従業員エンゲージメント※の向上」「海外拠点責任者の現地登用促進」「ジェンダーバランスの取れたパイプラインの強化や多様な働き方を実現する環境整備」を掲げています。 中期戦略「CS B2024」で掲げた「持続可能な未来に向けた経営基盤の変革」に向けて、ブラザーグループは、自らの生産性と創造性を高め続けるとともに、従業員一人ひとりが働きやすい環境づくりを行うなど、人的資本をさらに強化するための活動を今後も推進します。
|
自然資本 統合報告書2024 42~43ページ [PDF/2.0MB] | |
■資本の状況
資源消費量(製品原材料)
|
ブラザーグループは、持続的発展が可能な社会の構築に向け、企業活動のあらゆる面で地球環境の配慮に前向きで継続的な取り組みを行っていきます。 「ブラザーグループ環境方針」の基本理念にのっとり、持続的発展が可能な社会の構築に向け、製品ライフサイクルのすべての段階で安全かつ環境に対する影響を十二分に配慮することを基本とし、環境活動への展開を図っています。 |
ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント
ブラザーグループは、「お客様の声」を、企画・開発・設計・製造・販売・サービスなどすべての事業活動の原点と考え、迅速に優れた価値をお届けするために、独自のマネジメントシステム「ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント(BVCM)」を構築・実践しています。
お客様のもとへ優れた価値を迅速にお届けするまでの過程を、「デマンドチェーン」「コンカレントチェーン」「サプライチェーン」の3つのチェーンでつなぎ、柔軟かつスピーディーに価値創出を行います。またお客様に価値をお届けした後も、お客様や市場の声を聞きながら、早急に改良を加えていきます。さらに、お客様を中心に考えたこのバリューチェーンの循環を高速化することで、より優れた製品・サービス・ソリューションを迅速にお届けします。
BVCMの進化
ブラザーグループビジョンで目指す「循環経済型ビジネスの推進」や「産業用領域の飛躍」を実現するため、基本のBVCMプロセス(白色実線)に、A:循環型経済の確立に向けたチェーンの双方向化、B:産業用領域を中心とした、開発段階におけるお客様からのフィードバックに基づき迅速な製品改良を行う流れ、を加えました。基本のプロセスとともにさらなる高度化、高速化を図ります。
お客様の声
お客様から始まる"価値"のチェーン
ブラザーの製品をご購入いただいた「現在」のお客様と、これからブラザーの製品を手に取ってくださる「将来」のお客様の声が、すべての事業活動の出発点です。お客様との重要な接点であるコールセンターには、さまざまなお問い合わせやご要望が寄せられます。それらの情報をデータベースに登録し、ブラザーグループ全体でグローバルに共有しています。
お客様の声に関する具体的な事例デマンドチェーン(価値の選択)
- お客様の真のニーズをグローバルベースで把握し、独自の価値提供内容を決定
- 最適な価値の実現・提供方法を企画・開発部門が一体となって立案
各国のコールセンターに寄せられたご意見や、販売・サービス活動、市場調査データから得た情報を基に、営業部門・設計部門が一体となって、"製品が使われる環境がどのように変化していくのか"、"さらに多くのお客様にご満足いただくには何を改良するべきか"など、さまざまな角度からお客様のご期待・ご要望を分析し、製品コンセプトをつくり上げます。
商品企画・研究開発に関する具体的な事例コンカレントチェーン(価値の創造)
- 開発部門(機械・電気電子・ソフトウエア・化学など)と製造部門、サプライヤーとの間で密に連携
- 社内技術と社外技術を最適な形で組み合わせて活用
デマンドチェーンでつくり上げた製品コンセプトを具体的なカタチにします。試作の前後にシミュレーションや想定されるお客様によるモニター試験を何度も行い、高い品質レベルを実現しながら、迅速に開発設計を行います。また生産技術担当部門では、お客様が望むタイミングで製品を提供できるように最適な生産ラインを設計します。
開発設計生産技術に関する具体的な事例サプライチェーン(価値の伝達)
- コスト競争力と変化への対応力を磨き、最適な地域で最適な製品を生産
- 各国・地域の顧客の特性を熟知し、きめ細かな販売・サービスを提供
ブラザーグループの生産拠点では、部品調達先などのパートナーと密に連携しながら、製造工程や品質管理体制を強化し、高品質の製品を生産しています。製品は世界各国・地域の販売拠点を通じて、お客様のお手元に届けられます。そして、インターネットでのオンラインサポートやコールセンターなどを通じて、個々のお客様にご満足いただけるよう迅速・丁寧なサポートを提供しています。
製造・物流・販売・サービスに関する具体的な事例BVCMの進化(Aの流れ)
回収・再利用して、資源循環を実現する流れ
ブラザーグループは、持続的発展が可能な社会の構築に向け、企業活動のあらゆる面で地球環境の配慮に前向きで継続的な取り組みを行っています。環境への配慮はすべての活動の基本です。製品が開発・設計され、製造され、お客様によって使用され、やがて廃棄され、再利用されるまで、すべての段階で安全かつ環境に対する影響を十二分に配慮することを基本としています。ブラザーグループでは、お客様が製品を使い終わったときの配慮として、各国法規制に従い、製品や消耗品のリユース・リサイクル性向上やリサイクルシステムの構築を推進しています。
各国における回収・リサイクルの取り組みBVCMの進化(Bの流れ)
お客様からのフィードバックを得て迅速に製品改良する流れ(産業用領域の事例)
お客様の声を原点とした製品開発で、工作機械のさらなる可能性の追求をしています。工作機械「SPEEDIO(スピーディオ)」シリーズにおいても、生産現場のさらなる価値創出に貢献すべく、お客様の声や世の中の変化に迅速に対応しています。
お客様から始まる"価値"のチェーンお客様からのフィードバックを得て迅速に製品改良する流れ(新規事業の事例)
コロナ禍で、安心・安全な空間への関心が高まる中、手軽に使える空気清浄機の迅速な開発が求められていました。ブラザー工業は、想定するユーザーのところへ足を運び、不安や困りごとを伺い、それを解決するための製品開発に取り組みました。2020年11月、パーソナル空間向け小型空気清浄機「DF-1」を開発。「DF-1」は、プリンターの開発で培った気流解析技術を活用しています。「DF-1」のテストマーケティングを経て、カラオケ業界や飲食業界から一般販売も視野に入れて、「DF-1」を使用したお客様の声を生かして、「DF-1」発表から9カ月後の2021年7月に「DF-2」を開発しました。
従来の据え置き製品「DF-1」は、空気を下から吸い込み、フィルターを通して上から吐き出し部屋全体を浄化します。広い空間を浄化できる一方、対面コミュニケーションで発生するマイクロ飛沫を完全に防ぐことは、難しい場合があることがわかりました。一方、「DF-2」は、独自のダブルファン構造により、前・後・上面の3方向から強力に吸引し、高性能フィルターで素早く、マイクロ飛沫を除去します。人と人とのパーソナル空間に的を絞ることで、空間全体の浄化よりも圧倒的に速く、クリーンなパーソナル空間を作ります。「DF-2」の改良で注力したのは、吸引性能の向上です。静音性はそのままに、さらにパワフルにマイクロ飛沫の吸引が行えるようになりました。また、より簡単にフィルター交換が行えるように、上げぶたの開閉方式を変更するなど、お客様の声を生かした細やかで迅速な改良を行いました。
DF-2 エアロゾルクリーナー