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安全防災基本方針の制定と推進体制

ブラザーグループ安全防災基本方針

ブラザーグループは、「安全防災基本方針」を策定し、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS*1)に準拠した活動を行うことで、防災や従業員の疾病防止、快適な職場づくりに継続して取り組んでいます。

ブラザーグループ安全防災基本方針

「安全第一」は、すべての活動の基本である。すべての従業員が安全に安心して健康に働ける快適職場となるように努めるとともに、安全文化を定着させる。

ブラザーグループ防災体制・管理規程

2017年12月に、火災における従業員および職場の安全確保を目的とした「ブラザーグループ防災体制・管理規程」を制定しました。
この規程は、(1) 火災を未然に防ぐ「防火管理」、(2) 火災発生時に被害を最小限に止める「消火管理」、(3) 従業員の安全を確保する「人身安全管理」の計3要素から構成されています。2021年4月には、「火災リスクの高い設備、作業等に関する注意事項・消防設備等に関する条項」を追加しました。
また、この規程は、主要な国内・海外拠点に展開しています*2

  1. Occupational Safety and Health Management Systemの頭文字。厚生労働省が定める、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とした安全衛生管理の仕組み
  2. 展開範囲
    国内: ブラザー工業株式会社、株式会社ニッセイ、三重ブラザー精機株式会社、ブラザーロジテック株式会社、株式会社ブラザーエンタープライズ
    海外: ブラザー工業株式会社、兄弟高科技(深圳)有限公司、珠海兄弟工業有限公司、ブラザーインダストリーズ(ベトナム)Ltd.、ブラザーインダストリーズ(フィリピン)Inc.、ブラザーインダストリーズ(U.K.)Ltd.、ブラザーインダストリーズ(スロバキア)s.r.o.、兄弟機械(西安)有限公司、台弟工業股份有限公司、ブラザーインダストリーズ(サイゴン)Ltd.

安全防災推進体制

中央安全衛生防災委員会の設置

ブラザー工業株式会社(以下、ブラザー工業)は、国内各拠点の役員などで構成される中央安全衛生防災委員会を設置しています。この委員会は、ブラザー工業の安全衛生担当役員が委員長を務めています。

定期的な監査の実施

主要な海外生産拠点には、中央安全防災委員会の事務局であるブラザー工業人事部安全防災グループが、定期的に監査を行っており、各拠点の安全衛生・防災レベルの向上や現地スタッフの育成につなげています。

ISO45001取得状況

ブラザーインダストリーズ(ベトナム)Ltd.やブラザーインダストリーズ(フィリピン)Inc.などの生産拠点では、外部認証であるISO45001を取得しています。ブラザーグループにおける拠点ベースの取得率は2024年3月31日現在、約8%です。

安全防災関連データ

目標・実績

2022年度から2024年度の3カ年は、ブラザーグループ拠点での重篤災害*1 0件を目標に活動を行っています。
2022年度はブラザーグループ生産拠点で、生産現場の従業員が機械の不具合を解消するため、稼働中の機械に手を入れて指先を切断する重篤災害が1件発生してしまいました。本災害に対する再発防止策として、災害が発生した機械や同種機械の稼働部のカバーを可動式から固定式に変更し、機械稼働中に手が入らないようにしました。また、生産現場の従業員に対して、機械に不具合が出ているときは、稼働を停止して管理職に連絡し、機械の不具合が解消するまで作業の開始を待つことを再教育しました。
2023年度のブラザー工業およびブラザーグループ生産拠点の重篤災害は、0件でした。この結果に満足せず、機械稼働や作業中のリスクアセスメントや危険予知トレーニングなどを引き続き実施し、職場の安全性や従業員の安全意識向上に努めます。

安全防災に関するデータ

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
重篤災害件数(目標) 0件 0件 0件 0件 0件
重篤災害件数(実績) 1件 1件 0件 1件 0件
業務上死亡者数*2 0人 0人 0人 0人 0人
休業災害度数率*2,3 0 0 0.27 0 0
休業疾病度数率*2,4 0 0 0 0 0
労働(休業)災害件数(1日以上)*2 0件 0件 2件 0件 0件

国内の休業災害度数率

国内の休業災害度数率

海外主要生産拠点の労働災害件数と災害年千人率(休業・不休災害)*6

海外主要生産拠点の労働災害件数と災害年千人率(休業・不休災害)

海外含む主要生産拠点の安全防災に関する実績*7

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
労働者が負傷した頻度(労働時間当たりの負傷件数)*8 0.30 0.33 0.36 0.34 0.33
労働災害発生率(労働者一人当たりの負傷件数)*9 0.0006 0.0007 0.0007 0.0007 0.0007
  1. 死亡災害・入院30日以上の災害・後遺症が出る災害
  2. ブラザー工業株式会社
  3. 労働災害による休業を伴う死傷者数/延べ労働時間×1,000,000
  4. 労働災害による休業を伴う疾病者数/延べ労働時間×1,000,000
  5. 厚生労働省「労働災害動向調査」による
  6. 労働災害の年千人率: (災害件数/従業員数)×1000
  7. 海外含む主要生産拠点:
    ブラザー工業株式会社、兄弟高科技(深圳)有限公司、珠海兄弟工業有限公司、ブラザーインダストリーズ(ベトナム)Ltd.、ブラザーインダストリーズ(フィリピン)Inc.、ブラザーインダストリーズ(U.S.A.)Inc.、ブラザーインダストリーズ(U.K.)Ltd.、ブラザーインダストリーズ(スロバキア)s.r.o.、兄弟機械(西安)有限公司、台弟工業股份有限公司、ブラザーインダストリーズ(サイゴン)Ltd.
  8. 労働者が負傷した頻度(労働時間当たりの負傷件数): 労働災害による負傷者数/延べ実労働時間数×1,000,000
  9. 労働災害発生率(労働者一人当たりの負傷件数): 労働災害による全負傷件数/全労働者数

安全衛生・防災に対する主な取り組み

国内における事故発生防止に向けた取り組み

ブラザー工業で想定される労働災害には、以下のように対策を行うことで事故発生を防止する作業環境への改善に努めています。

想定される労働災害 対策
高所からの落下
  • 落下防止柵の設置
機械による挟まれ・巻き込まれ
  • 挟まれ・巻き込まれ防止のカバー設置
フォークリフトによる接触事故
  • フォークリフトなどの機械が動いている場所における不安全な行動防止に向けた、安全ルールの設定
  • 安全ルール順守に向けた社内教育の実施
化学物質による薬傷
  • 正しく取り扱われるように定期的に安全教育を実施
  • 2023年から2024年にかけて施行となった「化学物質による労働災害防止のための新たな規制」の対応に向けて管理手順や体制の整備

グローバルで安全衛生・防災活動を推進

職場の安全衛生・防災状況を確認

主要な生産拠点など国内外の各拠点では、定期的に各拠点の安全防災委員によるパトロールが行われており、問題があればすぐに改善を行うようにしています。加えて、大幅な生産ラインの変更など職場環境が大きく変わった拠点には、中央安全衛生防災委員長によるパトロールも実施し、職場の安全衛生や防災の状況を確認しています。

発生した災害や安全防災活動をグローバルで共有

国内・海外の主要生産拠点で発生した災害は、イントラネットなどで共有しており、すべての拠点で災害の情報や対策内容を確認することができます。各拠点では、同種同類の災害が発生しないように、これらの対策を水平展開しています。

毎年開催している「ブラザーグローバル安全防災大会」では、優秀な安全防災活動に取り組んだ生産拠点を表彰するとともに、表彰された生産拠点の事例を発表し、拠点間の情報共有を図っています。2023年度の大会は、グローバル各拠点から関係者を集め日本で開催し、安全防災活動の好事例などが共有されました。本大会は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年度以降、オンラインで開催しており、対面での開催は4年ぶりとなりました。

設備・作業のリスクマネジメントの実施

新たなプロジェクトの発進によって設備を導入した場合や、作業場所および原材料に変更があった場合、使用する工具の変更や組み立てる順番の変更など作業方法に変化があった場合には、設備・作業のリスクアセスメントを実施することを取り決めています。このリスクアセスメントでは、「転倒」「挟まれ」「巻き込まれ」「感電」「爆発・火災」などあらかじめ想定される危険源*1を抽出し、とくに重要な危険源を見逃さないようにしています。さらに、作業の各工程で、作業者が接することが考えられる危険源を洗い出し、リスクレベルを算出、そのレベルに応じた対策・対応をとるようにしています。また、リスクアセスメントで安全対策を行っても一定レベル以上の危なさが残ると判断されている設備などに対しては、リスクの度合いを表示する「リスクの見える化」も行っています。

リスクアセスメントを実施した後に一定期間*2が経過すると、作業内容やリスクなどに変化がないかを再確認します。変化があった場合には、再度リスクアセスメントを実施しています。

  1. リスクが生ずる原因となるもの、災害を起こす根源となるものを指す
  2. 3年を目安とする

安全衛生防災教育

安全衛生教育

安全衛生に関しては、安全衛生防災委員会で策定した計画書に基づき、危険予知などの安全先取り活動や安全衛生教育などを、毎年各拠点で実施しています。安全衛生教育として、ブラザー工業全従業員を対象にe-ラーニングを行っており、2023年度は対象者の97.1%である4,183人が受講しています。また、毎年4月に新入社員に対して教育を行い、2024年度は受講者数95人で、対象者の100%が受講しています。経験者採用者や新規の派遣従業員に対しては毎月教育の場を設けており、2023年度は受講者数80人で、対象者の100%が受講しています。
ほかにも、業務に応じた教育を実施しています。例えば、化学物質などを扱う特殊作業に従事する従業員に対しては、その作業内容に合わせた教育を実施しています。社用車を運転する場合は許可制度を設け、対象となる従業員には交通安全講習の受講を義務付けています。また、海外拠点については、新入社員や経験者採用者を対象に、各拠点で教育を実施しています。

安全防災教育

防災面では、万が一災害が発生した場合に被害を最小限にとどめるための防災組織の整備や、避難訓練、初期消火訓練、AED(自動体外式除細動器)を使用した救命講習、法令に基づく消防設備点検を各拠点で実施しています。
2007年には、地域や行政機関との間で大規模災害発生時における支援協力に関する覚書の締結を行い、2014年からは、覚書を締結した近隣の保育園と合同避難訓練を実施しています。2016年からは、ブラザー工業の本社で災害時に設置する災害対策本部の設置訓練を実施しています。

家庭における防災意識の啓発

在宅勤務の普及に伴い、家庭における防災意識の啓発と防災体制の強化が今まで以上に重要になります。この背景から、2023年度は、家庭内の防災意識を確認するアンケートを行いました。その結果から、平常時での防災備蓄に焦点を当て、身近なものでできる家庭での備えに関するe-ラーニングを実施しました。このe-ラーニングは、対象者の95.4%である4,250人が受講しています。また、e-ラーニングで扱った内容をより具体化した動画をイントラネット上で配信し、家庭での防災備品に関する具体的事例を紹介することで、従業員の防災意識のさらなる向上を図りました。

安全衛生防災教育関連データ

安全衛生防災教育に関する実績(ブラザー工業*1)

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
社内規程である安全衛生教育手続に基づく安全教育(e-learning) 受講人数 3,754人*2 3,802人*2 3,959人*2 4,052人*2 4,183人
社内規程である安全衛生教育手続に基づく防災教育(e-learning) 受講人数 4,250人
社内規程である安全衛生教育手続に基づくその他の安全防災教育 受講人数*3 4,443人 2,723人 3,253人 3,843人 4,415人
  1. 受入出向者・嘱託社員・期間従業員も含む
  2. 安全教育と防災教育を一つの講座として実施
  3. 2019年度以降は、メンタルヘルス関連教育の受講人数も含む

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