2026.8.31
小型・高性能・高い環境性能を実現
新世代のA4カラーレーザー複合機開発ストーリー
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- 大幅な小型化を実現した新世代のカラーレーザー複合機・プリンター
- 排熱処理の課題に、従来の枠を超えた発想とチャレンジで挑む
- プロジェクトメンバーの尽力で、機能進化と環境配慮を高次元で両立
- 目次
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- 松野 卓士
- ブラザー工業株式会社
プリンティング・アンド・ソリューションズ事業 LE開発部
グループ・マネジャー - 入社後、レーザープリンター・複合機の定着の設計に従事。ブラザー初のカラーレーザープリンターの設計などを担当した後、製品本体の開発を担当。今回の新製品開発ではプロジェクトリーダーとして全体を指揮。ブラザー初のカラーレーザープリンター開発をはじめ、長年にわたりレーザープリンター・複合機の開発に携わる。現在はLE開発部のグループ・マネジャーとして製品設計全体を統括するとともに、製品本体の開発をリードし、プリンター・複合機のさらなる進化に取り組んでいる。
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- 矢吹 智康
- ブラザー工業株式会社
プリンティング・アンド・ソリューションズ事業 SC開発部
グループ・マネジャー - 入社後、インクジェット製品に組み込むソフトウェアの開発を担当。その後、高速インクジェットプリンター、レーザープリンター・複合機のソフトウェア開発のエンジン制御部分のリーダー等を担当。設計者派遣制度でフランスに3カ月間滞在し、帰国後にはカラーレーザープリンター・複合機のソフトウェアの開発リーダーとなり、今回のプロジェクトでは開発リーダーを務める。現在はプリンター・複合機のクラウド開発を指揮する。
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- 新澤 大地
- ブラザー販売株式会社 商品企画部
- 入社後、ブラザーグループのさまざまな製品のデジタルマーケティングの支援に従事。その後、レーザープリンター・複合機の商品企画を担当。今回の新製品開発には商品企画の責任者として関わり、販売会社からの要望を受けた製品立ち上げを開発者とともに推進。現在はブラザー販売株式会社でお客様に近い現場で商品企画、マーケティング業務に従事する。
世界中で多くのお客様に支持されているブラザーのレーザープリンター・複合機。今回、オフィス向けのA4カラーレーザープリンター・複合機が約8年ぶりとなるフルモデルチェンジを行い、大きく進化しました。従来機と比較して大幅な小型化を実現するとともに、お客様ご自身で消耗部品を交換できるようにするなど、利便性も向上しています。さらに、電子製品の環境性能を評価・認証する国際的な認証制度であるEPEAT(イーピート)1.0においてカラーレーザー製品ではブラザー工業で初となる最高位の「GOLD」を取得しました。お客様への価値提供の思いとその取り組みについてプロジェクトメンバーに聞きました。
1.28%もコンパクトになった本体
多機能でありながら、コンパクトさには定評のあるブラザーのプリンター・複合機。新モデルではさらにコンパクトな本体設計を目指し、従来モデルと比較して大幅な小型化を実現しています。
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- 松野さん:
- ブラザーのプリンターは小型で使い勝手が良い点を多くのお客様に評価していただいています。新モデルでは、従来以上にコンパクトな製品を目指しました。
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- 松野さん:
- そのために、レーザースキャナーユニットと呼ばれる印字用の画像を生成する中核機構を新たに設計し直しました。それにより部品と部品の間に今まで必要だった間隔を短くすることができ、製品の高さと奥行き方向のスリム化を達成しています。一方で部品の間隔を近づけると別の課題が生じてきます。
製品の小型化は排熱との戦いでもありました。
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- 矢吹さん:
- 製品の小型化のためには部品間の距離を縮める必要がありますが、それにより部品が発する熱がこもるため、機械内部の温度が上昇しやすくなります。とくに、レーザープリンターのトナー粉は熱で固まってしまう性質を持つため、排熱処理が重要なポイントになります。
そのうえ、今回の製品開発では新たな課題も加わりました。
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- 矢吹さん:
- オゾンに関する規格が厳格化されることを見越して今回の製品ではプリンターの冷却ファンにオゾンの排出を防ぐためのフィルターを追加することになりました。ただ、これにより、フィルターを追加することで空気の流れが阻害され、製品内の温度が下がりにくくなってしまいます。
この課題は、これまでの考え方の延長線上では解決できないと判断し、従来のやり方にとらわれず、穴をあけたり、スポンジでふさいだり、さまざまな案に対してシミュレーションと効果検証を繰り返して最適解を見出していきました。
さらに、オゾンの分解効率を最大化するフィルターの採用、フィルター回りのエアフロ―の設計を一から見直すなど、さまざまな試行錯誤を行うことで、オゾンの低減と製品内の温度上昇の抑制を両立することができました。
これらの開発者の苦労が実を結び、その結果、新モデルでは従来モデル比で最大28%の小型化を達成したのです。
2.性能向上とメンテナンス性の向上
ただ、コンパクトにできても機能や使い勝手が損なわれてしまっては意味がありません。新モデルでは、従来モデルと比較してスペックアップをするとともにメンテナンス性を向上させています。
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- 矢吹さん:
- 印刷指示を出してから1枚目が排出されるまでの時間(FPOT: First Print Out Time)の短縮や、連続印刷速度の向上を実現しています。特にFPOTは日常的な使い勝手や業務効率に直結する重要な性能指標だと考えています。
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- 矢吹さん:
- レーザープリンターでは、印刷時にローラーを加熱する必要があるため、ローラーを薄くすることで熱が伝わりやすくなり、印字までのスピードを速くすることができます。一方で熱が伝わりやすくなる半面、一定の温度を保持することや、温度管理が難しくなるという課題があります。レーザープリンターには定着器というトナー粉を紙に圧着させるための装置があり、その定着器との関係も重要になってくるため、定着器の開発担当者と密に連携しながら開発を進めました。とくに難しい課題に直面した際には、定着技術に知見のある松野さんにもサポートしてもらいながら仕様をつくり込んでいきましたね。
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- 松野さん:
- 開発した製品がきちんと製造できるかどうかも重要な要素なので、製造面での課題も含めて検討を進めていき、関係者で懸念点を出し合いながら仕様を決めていきました。
さらに、新モデルでは給紙部品や定着器をお客様自身で交換できるようになりました。
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- 新澤さん:
- 従来モデルでは定着器をお客様側では交換することができず、ブラザー側で交換する必要がありました。頻繁に交換が必要な部品ではありませんが、長く製品をお使いいただくお客様はブラザーの窓口に連絡してもらい、交換していただく必要がありました。
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- 矢吹さん:
- お客様側でのメンテナンス性向上のため、ぜひ実現したいと思いましたが、どのようにすれば安心して交換していただくことができるか考えました。
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- 松野さん:
- お客様がやけどなどの怪我をされないように安全面の配慮を第一に考えました。
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- 新澤さん:
- 社内の関係部門と開発の早い段階から連携し、交換作業中の不意な接触や取り扱いも考慮した構造を検討してもらいました。
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- 矢吹さん:
- 定着器の交換時に高温部へ触れない構造を採用するとともに、定着器自体の形状も見直しました。これらは定着担当とそれを装着する本体の担当者でアイデアを出し合いながら実現させていきました。
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- 新澤さん:
- 定着器をお客様側で迅速に交換できるようになったことで印刷が止まってしまう時間を減らすことができるとともに、サービス担当者の出張費用が不要になるため、お客様のコスト低減にもつながっています。
3.「Empower your business, Elevate eco-consciousness(「あなたのビジネスを強化し、環境意識を高めよう」)」
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- 松野さん:
- 今回の製品開発は、「Empower your business, Elevate eco-consciousness」をテーマに掲げてスタートしました。コロナ後のオフィス環境やお客様のニーズの変化に対応するため、機能面を進化させること、そして環境に配慮した製品にすること。この両立は難しいチャレンジでしたが、高い目標を掲げてプロジェクトメンバーと一丸となって取り組みました。プロジェクトメンバーにはこのメッセージを伝え、理解してもらって開発を進めたことで、高い壁も乗り越えることができたと思っています。
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- 松野さん:
- まず、オゾンの排出量を削減しました。ブラザーのプリンターはもともとオゾンの排出量は少ないですが、前モデルと比較して排出量を95%削減しており、今後、オゾンに関する規格基準が厳しくなっていったとしても十分に対応できるレベルを確保しています。
そして、PCR材(リサイクルプラスチック)の採用比率を大幅に増やし、新規資源量の削減に貢献しています。
さらに、製品本体だけでなく梱包材についても環境負荷低減に取り組みました。
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- 松野さん:
- 製品を梱包するものといえば、発泡スチロールをイメージされると思いますが、今回の製品では発泡スチロールを一切使わない梱包を目指しました。すでにブラザー製品ではインクジェットプリンターなどで実現していますが、カラーレーザー複合機・プリンターでは初の採用となります。
Empower your business, Elevate eco-consciousness、このメッセージの下で開発が進められた製品の価値はお客様に届いていると新澤さんは語ります。
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- 新澤さん:
- 今まで以上にコンパクトで使い勝手が向上した製品はお客様から好評です。とくに本体サイズの減少を支持していただいています。
幾多の困難を乗り越えながら、海外では2025年10月から、日本国内では2026年2月から無事に販売が開始されました。
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- 松野さん:
- 製品の生産開始まで苦労が絶えないプロジェクトでしたが、メンバーが奮闘してくれたことで良いものに仕上がったと思っています。
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- 矢吹さん:
- 松野さんは話しかけやすい雰囲気で、いろいろな人が意見を言いやすい存在です。そのなかでも決めるべきときは決断をしてくれたので、いろいろな困難にぶつかりながらもプロジェクトは進んでいきました。
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- 松野さん:
- できる限り皆さんの意見に耳を傾けたうえで、最終的な方向性は自分が責任を持って決めることを意識していました。
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- 新澤さん:
- 今回のプロジェクトに商品企画担当として関われたことは自分にとって大きな経験で財産となりました。今は国内の販売会社に出向し、お客様により近い場所で仕事をしています。日本は競合他社も多く非常に厳しい市場ですが、より多くのお客様にブラザー製品を知っていただき、とくにカラーレーザープリンターの魅力を伝えていきたいです。
ブラザーが大切にしてきたコンパクトでお客様にとって使い勝手の良いプリンター・複合機。これからもお客様の声を大切にしながら進化を続けていきます。
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